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Side K

Side K 「君もしつこいね」  特別小柄ってワケでもないけど俺よりは小さい身体。まぁ俺がそこそこ背丈あるしな。174?…う~ん、朝比奈より小さいから175㎝よりは差をつけて小さいだろうな、って考えて一瞬くだらないこと考えた。あの子はもう俺には関係ない。記憶から抹消したっていい。 「納得いかないんで」  記憶から抹消すること?175㎝よりは絶対小さいって思ったこと?廊下でクールに俺を通せんぼする冷生ちゃん。ドア開けっ放しにすること前提というかドアがないからなんだけど、誰もが使っていい多目的室に腕を引かれて、それは何?俺をまた殴らないようにって意味?ま、ここあんま人来ないしね。別にいいけど、君が痛くないなら。どうせあの話でしょ。 「じゃあ訊くけどさ、君が納得するように、仮に俺がコクったとしてもさ、今付き合ってるの観月なワケでしょ」  そうですね、って返すくらいならもう分かるでしょ。 「逆に俺にも選択権はあるよね?好きでもない人と付き合うような人、俺は不誠実だし不潔だと思う」  耐えてるね、冷生ちゃん。忍耐は大事だよね。もっと頑張ってよ。 「特に好きな人がいるのにってコトなら尚更」 「それはアンタがはっきりしないから!」  まぁあの子が観月のこと好きになればいいんじゃないの。別に好きじゃなくたってお付き合いの理由なんて様々だしね、好きにしたら。俺が口出すことじゃないし、冷生ちゃんが口出すことでもないでしょ、そんなん。 「はっきりしない、って何。俺何も言ってなくない。俺が知ってるのは朝比奈には好きな人がいて、でもそれは観月じゃないけど観月と付き合ってて、それが気に入らないっぽい冷生ちゃんになんでか俺が八つ当たりされてるってだけ」  冷生ちゃん、順番間違わないでよ。 「でもあんた、重恋くんの気持ち知ってるんですよね?」 「…知らないね。冷生ちゃんが思わせぶりなこと言うからそれにノッただけ、仮定の話でしょ。なんで朝比奈が俺のコト好きみたいな前提で話進めてくるのか、ちょっと分かってないんだけど」  冷生ちゃんは溜息を吐く。俺に呆れてるの?手前の失態にうんざりしてるの? 「冷生ちゃんも結局は周りの人間と言ってることは違ってもやってることは同じだね。自分の物差しの幸福を相手に押し付けてるだけなんじゃないの」 「そうですね。そうかも知れないです」  それで、それを認めてどうするの?納得した?もう引っ掻き回さないでくれる?もう君には会わないようにするよ。朝比奈にもね。それで満足?それが求めてた返事? 「鷲宮先輩が信用ならないんです」  まぁ観月の素行不良っぷりじゃそう思われても仕方ないよね。 「でもさ、考えてみてよ、なんで朝比奈が観月を選んだのかさ」  顔も成績も家柄も性格も地頭も社会的信頼も全部上回ってる君よりも観月を選んだ理由をさ。 「分かんないです、そんなの」  うん、多分朝比奈も知られること望んでないだろうね。 「…まぁ俺も知らないけど」  俺は2人のこと、壊すつもりないし。冷生ちゃんとは違ってね。 「もしかして、ですけど、鷲宮先輩のコト、好きだったんですか?」  このガキが。

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