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Side W
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小松ン家、何があったんだってくらい冷蔵庫にシュークリームが詰まっていて、一緒に中身見た冷生チャンがすっげぇ変なカオして、これ結構高いところのですよ、って言っててさすが金持ち。僕はいいです、って少し気持ち悪そうに言うから金持ち過ぎて食い飽きたのか?ってカンジ。いつものようにテキトーに食器を借りてリビングに向かい合って座る。特に話すことがなくてテレビを点ける。確かおばさんから小松の様子見てくれって言われてたはずなんだけどな。小さい頃から世話になってるからつまらない理由で断れるワケねぇし。暫くはずっとテレビ観ながらシュークリームを食べていて、冷生チャンもテレビの方へ目が向いてた。特に面白みもないニュース番組。
「お前が何したいのか分からねぇや」
冷生チャンを横目で見ていたらそう言っていた。だって謎。朝比奈の友達気取るっていってもまだ好きなんだろ。誰かとくっつけばあきらめがつくってコンタン?そんな負け犬みたいなことするか?それともまじでセイジンに目覚めたとか。
食いながらしゃべったせいでむせて勢いでシュークリームの中身が皿の上に落ちて、カスが舞う。オレに台ふきんを渡しながら、いきなりなんですかってさっきの小松並みにフキゲンな声。
「いや、すげぇなって」
「だから何が…」
階段から下りてくる足音がして、どっちだ?って思ったら小松。すごいくつろいでるね、ってフツーに言われて、フキゲンじゃなかったのかよってカンジだ。冷蔵庫開きながら、冷生ちゃんは要らないの?って訊いてて、オレがもう1コ食うわって言ったらデブるなよって言われた。帰りに朝比奈にも出してやって、って言いながらペットボトルとコップと赤いパックの飲み物持ってまた上にもどっていった。
「気になんねぇの?見ないフリしてやるから盗み聞きしてこいよ」
小松が階段上がり終わったらしい音で確認してから冷生チャンをあおる。バカじゃないっスかってすっごい冷たい目で見られて、冷生チャンまじでガチのくそマジメなんだなってカンシンした。
「染サンと仲良いんですね。あれだけ派手にやっておいて」
いやオレもお前殴ろうとしたじゃん。それに冷生チャンこそ小松と仲直り早くない?
「仲良いっつーか腐れ縁だから」
少しのケンカなんてないもドーゼン。だから言ったのかな、長く居過ぎたって。あれくらいのケンカ、これから何度だってあるだろ、多分。色恋ザタはもうカンベンしてほしいけど。
「そうですか。腐れ縁…なんかいいですね」
「そうか?口うるせぇ母ちゃんみたいだぜ」
小むずかしい考え事してるみたいで、どうした?ってきいたら何でもないでって言われて、頭イイやつはしょっちゅう何か考えてんな。
「近いからこそ言えないことってあると思うんですよね」
急に冷生チャンがそんなことを言って、何それ?としか返せなくて、新手のギャグかと思ったけど、こっちの話ですスミマセンってまた考えはじめちゃって重恋チャン早く帰ってきてよ。
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