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第1話 神崎side
体が辛い。立っているとフラフラする。
「冴島、テメェッ!!」
「駄目だよ、ほら、今すぐに休みなさい。」
けれど黙っていられない。
いつの間にか若である志乃さんが家にいて、そして冴島と暮らせと命令してきた。
命令だから従うしかない。けれど、こうなったのはきっと冴島が若に余計なことを言ったせいだ。
「何言いやがった!!」
「別に、休ませてあげてって伝えただけだよ」
「余計なお世話なんだよ!!······ああもう、また、最悪だ······」
頭が痛い。ソファに座り深く息を吐いた。
「頼むから、出て行ってくれ······」
「行かないよ。聞いただろ?志乃からの命令だ」
「······チッ、うざい、うるさい······」
頭の中でいろんな声が響いて苦しい。
「それは持たない。違う方法があるでしょ?」
「っ、うるせえ!離せ!!」
いつの間にか手に取っていた刃物。それを手を掴まれて動きを止められる。
「自分を傷つける方法じゃなくて、他にも方法があるでしょ?」
「······誰も教えてくれなかった。今までこうして生きてきた。今更変えなくてもいい。お前に世話をされるつもりもない」
「落ち着いて。ゆっくり深呼吸しよう。」
そう言われても納得出来ずに、手を振り払って自らの左手首に刃物を立てた。痛みが走り、昂った感情が治まっていく。
「ああ、またやっちゃったね」
「············」
ボーッと流れる赤い血を右手で撫でる。手当をしようとする冴島を無視して、風呂場に行く。汗をかいたからシャワーを浴びたい。
「血流れたままだよ!」
「······ここに居たいなら勝手にしろ。けど、俺に干渉するな。」
「神崎君······」
人に触られることすらあまり好きではないんだ。他人からは裏切られてばかりだった。
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