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第2話
俺が眞宮組に入ったのはいつの事だったか。
ずっと昔のような気がするけど、つい最近だったと思う。
シャワーを浴びると、手首から流れる赤色が混ざって汚い色をしていた。
頭が痛い。体が細かく震えて、息を吐くと少しだけマシになる。
髪と体を洗い、身体を拭いて外に出た。そういえば着替えを忘れた。タオルを巻いて寝室のクロゼットに向かう。
「あ!神崎く、ん······」
「何だ」
「服、忘れたの?······それより、手当させてほしいな」
「······まあ、汚れるのは嫌だな」
冴島が嬉しそうに俺の側に寄ってきたけれど、まずは服を着たい。
「服、着る」
「忘れてた!そうだよね!······それにしても凄い体だね」
そう言われて自分の体を見る。
傷だらけの汚い体。腹にある刺傷や銃で撃たれた跡。
「腹筋も凄いね。鍛えてるんだね」
「······そりゃあ」
「触ってもいいかな?」
「はあ?」
男が男の体に興味を持つなんて、変わっている。いや、医者だから人間として興味があるのかもしれない。
「別に、いいけど」
「······神崎君ってすごく冷めてるような感じに見えるけど、そんな事ないよね」
「面倒事が嫌いなだけだ」
冴島が俺の腹を触って、擽ったさに顔を顰める。
「どうして眞宮組に入ったの?」
「······それより、服を着たい」
「あ、ごめんごめん!」
手が離れて、寝室に行き服を取りサッとそれを着た。
「さあ、手当しようね!」
「ああ」
傷口に消毒をされ、ピリピリとした痛みを感じながら煙草を吸う。
「はい、この薬飲んでね」
「何だこれ」
「解熱鎮痛剤。熱もあるし、腕も痛むでしょ」
手当が終わり、水と一緒に薬を渡され、言われた通りにそれを飲んだ。
「はい、寝る。さっきは干渉するなって言われたけど、君の体調が戻るまでは干渉させてもらうから。」
「······面倒臭い」
「シーツ、汗かいたなら替えた方がいいけど、どうする?」
「明日やるからいい」
1人で寝室に行き、ベッドに寝転がる。体調が優れないからか眠気はすぐに襲ってきて、そのままずっと眠りに落ちた。
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