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またもやぴーぴー言いながらへばりついて来る律に、俺は自分より遥かに背の高い男を引きずる形で歩くはめになってしまった。 春休みだからか寮内にはまだ生徒の姿は殆ど無く、平凡な俺とイケメンの律が戯れていても騒ぎ立てられる事はない。 これも数ヶ月後…いや、数日後にはお馴染みの展開となるのだ。 律はもうはなから自分の部屋に行く気がないのか俺の部屋について来ると、扉の前で立ち止まる。 「このまま部屋に荷物広げてたら何とかならないかなぁ」 「無理に決まってんだろ。…もう諦めようぜ。俺、荷物入れて来るから律も自分とこ行ってこいよ?な?」 言い聞かせながら律を見る。相変わらず不満そうな顔をしていたので、この際何ともならない部屋より気になっている事を口にしてみた。 「そういえばクラスってどうなるんだろうな。部屋はもう仕方ないけど、クラスまで離れたら流石に俺も寂しいわ」 知ってるやつ律しか居ないし。 「クラス……?」 俺の言葉に何かを思い出したような顔をした律。荷物を両手から離し、扉の前でサッと身を翻した。 「どうした?」 「俺、己の顔面を信用してみるね!」 「何が!?いきなりどうしたお前!?」 「先生んとこ行ってくるー!」 言うが早いか、律は持ち前の長い足とバスケ部で鍛えた抜群の脚力であっという間に見えなくなってしまった。 荷物に取り囲まれたような状況で1人ポツンと取り残された俺は、律の走り去った後を呆然と眺めて一言。 「だから先生、男だって言ってるのに…」 その後、初めから決まっていたのか、律のイケメンパワーで何とかなったのか。真相は定かでは無いが、入学したあとの教室には律が居て本当に同じクラスになってしまった。 このこと関して、少しの驚きと割と大きな動揺を感じることになるのだが…それはもう少し先の話だ。 end.

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