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「だって、おかしくない?なんで俺と智ちゃんの部屋違うの?」 「何もおかしくはないだろ。お前は浅倉のア、俺は末永のス。どう頑張っても同室にはならねーよ」 1年生は、あいうえお順で部屋割が決められるらしくア行で早い律と、サ行の俺が離れるのは仕方ないことだった。 俺は同室にはならないだろうな、と最初から思っていた。 しかし律はどこからその自信がくるのか俺と同室だと信じて疑わなかったようで、部屋が別々だという事実にショックを受けて憤りを感じているようだ。 「てか智ちゃんなんでそんなに冷めてるの?俺と一緒じゃないの寂しくない?俺は寂しい~、無理~」 律が甘えたように俺に擦り寄って来る。エレベーター内には誰も居ないが荷物があるので、こんなところでじゃれている余裕はない。 「冷めるも何も俺はお前と違って同室にはならないって思ってたから驚きがないと言うかなんというか…」 「ありえないでしょー!智ちゃんと同室じゃない上に女の子も居ないむさ苦しい空間で俺は一体何を楽しみに生きていけばいいの…」 数ヶ月後には律は新しい世界の扉を叩いて楽しいことだらけなのだが、この時はまだ女の子だけが恋愛対象だったので、律は分かりやすく項垂れていた。 「女の子がいないのは最初から分かってただろ。お前なんでこの高校入ったの…」 律の訳の分からない文句に呆れつつ、エレベーターが3階に着いたのでさっさと廊下に出る。 「なんでって。そんなの智ちゃんがいるからに決まってるじゃん」 出た途端シレッとそんなことを言われて、俺は持っていたカバンを落としてしまった。床に落ちた衝撃でボトッと柔らかい音がする。固い音がしなかったのは衣類しか入っていないからだ。 「えー、何やってんの。俺もう持てないよ」 「い、いや、持ってくれって意味じゃねーよ。ちょっとビックリして…」 「?…ビックリするようなとこあった?」 落としてしまったカバンを持ち直し、不思議そうに首を傾げた律を見上げる。 「え、てかお前、俺がこの高校入るから入ってきたの?」 「当たり前じゃん!そうじゃなかったら何が嬉しくて男しか居ないようなガッコにくるのよ」 「そんなん初めて聞いたし!なんだよそれ!めっちゃ嬉しいじゃねーか!でもお前いつの間にそんな俺ラブになったんだ」 「誰もラブとは言ってないけど」 「……上げといて落とすのやめて」 「それより部屋だよ~!どうすんの~!智ちゃん智ちゃぁん」

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