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床は四角いんだ。
四角いところは四角く形に沿って拭くものだろう。どうして丸く拭くのだ。そんなことをすれば角にゴミや埃が残るじゃないか。想像してみろ。そのゴミを餌としてダニが沸くところを。恐怖だろう。僕は恐怖だ。あり得ない。
珍しく料理をしてると思ったら、キュウリが1箇所切れていなくてズルズルと繋がったままだった。ボケか?僕に突っ込んで欲しいのか?どうしたらそんなことになるんだ。それなのに切り直すことなくそのままサラダに突っ込んでいた。正気か?
掃除も料理も、トイレの蓋だって!あいつは何度教えてやっても身に付けないし直さない!脳味噌に皺を刻むつもりがないのか。なんのために寮で暮らしているんだ。
僕が人より少しだけ神経質だということを除いても、あいつのズボラさは目に余るものがある。
腹が立つ。気が合わない。
2年になって同室の人間が変わってから、僕のストレスは1年の時より酷くなっていた。日々溜まっていくストレスに、今日。授業が終わって帰宅した部屋のソファーに、洗濯もせず放置されているパンツを見た瞬間、我慢できなくなって飛び出した。
床をあいつの顔だと思って踏み締める一歩一歩に力を入れる。1年の時に同室だった2人は今思えば凄くいい奴だった、と歩きながら過去を思い出していた。
掃除も料理も最初はできなくて当然である。
僕の家には母が居ない。だから小さい時から何かと家事をする機会が多く、根っから完璧主義だった僕はこの年齢の男子達に比べるとかなり色々と出来る。
1年の時は3人部屋だった。
初めての他人との暮らしに戸惑いを隠せなかったが、それよりも同室者達…主にその内の1人の家事の仕方が気になって気になって気になって。
気になって仕方なかった。
「君は米の研ぎ方も知らないのか?」
ある日、台所に立って米をボウルに入れたまま何やら携帯と睨めっこをしている同室者を見付けて思わずそう聞いてしまっていた。
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