11 / 12
呉大和はドリンクバーじゃない!・2020正月番外編(前編)
「好きな果物はなんだ」
「んー、なんだかんだ言ってやっぱミカンかな」
なんでもない会話のはずだった。
そしてこの年末、オレは何故か呉にミカンを大量に食べる事を強要される羽目になった。
五キロのミカンを手渡され、見下ろされながら「一つ残さず一人で食え。肌が黄色くなるまで食え」と命令されれば、もしかして好物を食べることを強要して嫌いにさせるという新手のイジメなのかなと疑わずにはいられない。
けどミカン好きなオレは五日で五キロくらい簡単だった。
何も考えず、居間でテレビの年末特番を観ながらミカンを食えば、はっと気付いた時にはテーブルの上に剥かれた皮がズラッと並んでいる。
オレはミカンの剥き方にクセがある。
ミカンのお尻の部分に指を突っ込んで縦に剥き、ヘタを通り過ぎ、残り1/3くらいまでいけば、左右に丸く残った皮がそのままパクッと綺麗に剥ける。
剥いた皮は片方を畳んで、長い部分をクルクル巻き付け、反対側の丸い皮を被せると、捨てるときも綺麗なのだ。
コレを呉の前でやったら、縦にピロンとむけた皮の両サイドに丸い皮がついてる状態を見て、アイツ、チンコ剥きって言いやがった。
小学生かよ。
確かにチンコっぽい形だけど。
ちなみにオレはずっと象さんだと思ってた。
そして居間でミカンを食うオレの目の前には今、三チンコ。
四つ目のミカンをチンコ化して、ミカンタイムを打ち止めとした。
はぁ。チンコ剥きが並ぶと、オレこんなにチンコ食ったのかって……違う、ミカン食ったのかって……えーっと、うん。
普段なら食べ過ぎを反省するとこだけど、呉に命令されちゃ、しかたないもんな。
「ちょっと赤穂 」
「あ、皮はちゃんと捨てるよ。置きっ放しにしないって……」
母ちゃんのキツい声に慌てて広げていたミカンの皮をかき集めた。
「友達と出かける予定なんでしょ。準備しなさい」
「あ、うん」
不思議だよなぁ。やらなきゃいけないってわかってても『やりなさい』って命令されるとしたくなくなる。
なんかもうちょっとやる気出させる言い方してもらえないかなぁ……。
「早くしなさいって言ってるでしょ!」
「聞こえてる」
「聞こえてるなら早くしなさい!」
「こないだ、木村んとこのおばちゃんが『赤穂くんは返事するだけまし』って言ってた」
「減らず口たたいてる暇があったら手を動かしなさい!」
……この時間なら充分間に合うし、別にオレが待ち合わせに遅れても、母ちゃんはなんも困らないんだからさぁ……。
過干渉でイライラするより、楽しんできなさいとか言って送り出してくんないかなぁ。
くれないよなぁ。
はぁ。
◇
友達と初詣に行って、午前三時ごろ解散した後、呉のメッセージに気付いて合流し、今オレはファミレスの角席に押し込められている。
呉は友達と夜中にファミレスでダベることも多いらしく、正月だったらどこの店舗が混むとか、そういうことに鼻が効くらしい。
しっかり空いた店舗を選んだようだ。
とはいえソファに横並びで座るとか嫌だよ〜。
オレを囲い込む呉は相変わらず怖い。
年が明けてすぐにオレが新年メッセージを送らなかった事と、メッセージに気付かなかったことにご立腹だ。
ちっ。
彼氏でもないクセに、彼氏ヅラしやがって。
そう。
呉とオレはまだ付き合っていない。
呉の家に入り浸ってて、デートもしてるけど、まだ恋人と認めてはいない。
キスとかエッチなこととかもしょっちゅうされるけど、ギリギリ手とか口だけで、素股もさせてやってないのだ。
原因は呉の告白だ。
オレが少女漫画みたいな告白をしてって言って、あれから三回?いや、四回くらい告白らしき事をしてくれたけど、いつもなんかおかしい。
最初は線路ぎわでの告白だった。
踏切のあっちとこっち、ふた手に分かれての告白。
電車が通り過ぎるときに呉が口を開いた。だけど、当然姿も見えず、声も聞こえなくて……。
いや、少女漫画なら胸キュンなのかもしれないけど、何言われたか聞こえてないし!
ロクでもない事言われてるかもしれないのに、告白にOKしろとか無理だろ。
二回目は、「この手をもう離さない!」ってやつをやるからと言って、崖から落とされそうになった。
もちろん却下だ。
三回目は、数日間散々冷たくされたと思ったら、呉が「俺じゃお前を幸せにできない」とかい言い出して、オレがガチヘコミ。だけど呉は急にキスしてきて。あ、これ仲直りする流れなのかなと思ったら、結局そのまま去って行かれて、オレがその場で呆然としてたらすぐに戻ってきた呉に「『呉じゃないと嫌だ!』って言って抱きついて来いよ!」ってキレられた。
そんな協力プレイ知らねーよ。
結局冷たくされた時のダメージが大きくってオレが大泣き。
オレを抱きかかえて「ごめんな、もうこんな事しないから」って謝ってたのは、ちょっと告白っぽかったけど。
てか、あの流れで呉が「好きだよ、付き合って」って言えば丸く収まった気がするんだけど、なんで言わないんだよあの野郎。
四回目は呉に「雪山ってどうよ?」って聞かれた時点で嫌な予感しかなかった。
「えーっと、スキーとか?」
「ああ、まあ、そうなるのかな。どうせ下手だろスキー。迷うよな?コース外れたりするよな?」
これは……。
「下手だから、安全に初心者コースから一歩も出ない」
「ええ?雪山遭難しろよ。山小屋で二人で温め合うとか、少女漫画の定番だろ?」
なんで告白されるために命をかけなきゃいけないんだよ!
「意識を失った赤穂を抱きしめ、温めながら『もう二度と離さないから』って心に誓うんだぞ?良いだろ?」
「心に誓うって……」
モノローグ!?
それ、相手に聞こえないやつ!
いや、言葉にしてても、気を失ってたら聞こえないし!
「死んだらどうすんの」
「俺がいるから大丈夫」
根拠なし!命の保証なし!
そんなこんなで、四回目は事前にボツった。
ロクでもない計画は立てるくせに、楽しみにしてたクリスマスは呉の友達が騒ぐ中に連れて行かれて、ノリについて行けずにオレは壁ぼっち。
そして今日は……。
「呉、告白どうなったんだよ」
「は?正月だぞ?今日はしねーよ」
「なんでだよ。正月だぞ?告白考えてないの?」
「正月って、少女漫画っぽくないだろ。お前ヒロインが正月に告白されてるシーンとか見たことあるのか」
………そもそも少女漫画をあんま読んだことがないから、当然そんなシーン見たことないけど……ないけど、漫画って腐る程あるし、探せば多分あるってばよ〜〜。
呉、本当使えない!
呉の……
穀潰し!
スケコマシ!
狐憑き!
うー!適切な悪口が思い浮かばない。
ぼきゃぶらりーが金欠だ。
いや、貧血だ。
いや、貧弱?貧困?
もう、どうでもいい。
「で、赤穂、ミカンは食ったか?」
「は……?うん。食べたよ」
「肌、黄色くなってないぞ?」
「個人差があるから」
「どっか黄色くなってるとこはないのか?」
呉がオレのセーターを引っ掴んで、インナーシャツごとはぐった。
「うわ!色が変わるとしたら、普通手からだろ?」
「そうなのか?」
セーターを掴む呉の手を引き離そうとするけど、腕力でオレが敵うわけない。
こいつ、オレの肌を黄色くして何をしたいんだ……。
「まあ、肌の色はどうでもいい」
「えっ!? どうでもいいの?」
驚いていると、セータを掴むのと反対の手があっという間にオレのベルトを外して、ファスナーが開かれ……。
「うっっそ!!!???ええっ?」
下着からオレの体格に見合ったサイズのモノが引き出され、呉の口に……。
うそだろっっ!?
角席だしソファの背もたれがあって見えづらいとはいえ、ここ、ファミレスだぞ!
少ないとはいえ他の客もいるし!!!!!!
頭の中で叫ぶけど、驚きすぎて指の一本も動かせない。
そして呉の口でチュウチュウ吸われるモノもビックリしすぎてどんどん縮んでいく。
なんだろう。
目の前はファミレスの大きなガラス窓で、店内には確かに人の気配があって、店員は注文を取っていて、オレのチンコはあったかく湿った感触に包まれて。
本当、なんだこれ。
「全然反応しねぇな。普段は勃たなくても問題ないけど、こんな時くらいしっかり勃てよ。男だろ?」
「は……はぁぁあああ?」
むしろ、こんなとこで勃つわけない。
と、思ってたけど、根元を唇でキュッキュと締め付けられて、フニャニャのモノを口の中で転がすように舌を絡められて……。
「ぁううう……」
「モジモジしてないで、もっとバリッと勃ってサッサとイケよ。気持ちいいんだろ?」
「そういうこと言うなぁあ………呉のばか。ばか。ばか。ばか」
後ろも隣も人はいないけど、ざわめきの切れ目に声が乗って遠くの席の人に聞こえたりとかあるんだからな!
てか、オレは小声なのに、普通のボリュームで喋るなよ。
「呉、これ何?なんでこんなことしてんだよ?」
「なにおぼこいこと言ってんだ。知ってるだろ?ほら、チンコをしゃぶることをなんて言う?」
「うううう〜〜言うわけないだろ。呉のばか〜〜」
「ふん。お前の悪口は『ばか』だけか。まさに馬鹿の一つ覚えだな」
うー。
ちんこ咥えるその口で悪口言われるって、なんか………。
ううーすげぇチンコがムズムズする。
今はまだ大丈夫だけど、こんなとこでイクとか絶対嫌だ。
そうだ。こんなの全然気持ちよくなんかない。気持ちよくない、気持ちよくない。
「ぁう……んっっ……」
気持ちよくないーーー!!!
「先端から我慢汁がジュプジュプ溢れてくるな。でもコレじゃないだろ?早くイケよ」
ぁうっ、あうぅ、先端に舌突っ込むなよぉぉおおおお。
ああ、ちょっと遠いけど店員さんが歩いてるのが見える。
嫌だ。こんなとこでイッたら店員さんに申し訳ない。
ううう……呉め。
こんなとこでこんなことして……店員さんに呪われろ。
店員さんに呪われて椅子の角に小指ぶつけろ。
そんで、ドアで手をはさめ。
それからえっと、ドアマットで躓いてこけろ。
その次は……えーっと、車に轢かれるのはかわいそうだから……電信柱に頭ぶつけろ。
……って、あ、全部この席立ってからのことだから、どんなに呪われてもチンコしゃぶるのをやめさせられない。
「ひぃん……呉のばかぁ。早く誰かに呪われろよぉぉぉ」
「ふっ……気持ち良すぎて泣いてるのか?可愛いな」
「違うぅぅぅ」
「ああそうだ。こういう時、少女漫画では定番セリフがあったな」
「んっ……ァン……いらないぃぃ」
喋りながらも、全然手加減してくれないし。
「お前、可愛すぎ。俺のことあんま煽んなよ」
わざとちゅばっと音を立ててしゃぶり、イケメンスマイルを向けてきた。
「…ア…くっ……煽るって何?急に車の運転の話?」
「いや、だから少女漫画の定番のセリフ」
「ええ?漫画で主人公を煽ってそそのかす奴ってだいたい小物の悪役だろ?そんで主人公じゃなくってその仲間に倒されるの」
「まあ、俺も煽るなとか言われたら、うるせぇつってグーパンチで顔面ボコボコにしてやりたい気分になるけど、少女漫画じゃ素敵なセリフっぽい扱いなんだよ。それに煽るのはヒロインだから当然仲間に倒されたりもしない」
煽るなって言われて喜ぶとか理解不能だ。
けど……そんなことより。
……もう……もう……。
「どぉでもいいから、しゃぶるのやめてぇぇ……」
「そんな、泣く程我慢せずに、さっさとイケよ」
あっ……アァっ……!
ダメっ、ダメっ!周りにジュプジュプいってるのが聞こえそう……。
ううううう……我慢しすぎてチンコ潰れそう……。
「……もヤダァ」
「うぐっっぷ!」
…………。
………………イ……イッてしまった。
なんか、一瞬頭も飛んだ。
多分気持ちよかったんだろうけど、すっごい我慢してたから、キツくてツラかった………。
ははっ。呉のやつむせてやんの。
ザマァ。
って……!
ボーッとしてる場合じゃない!
ここファミレスだ!
急いでモノを下着に押し込んでファスナーを閉める。
敏感になってるから、下着にこすれて痛気持ちいいんだけど……。
ううーー。変な感じだ。
「ちょ、お前、急にイくなよ」
「はぁ?」
早くイケって言ってたくせに、とんだ言いがかりだ。
「せっかくミカン食わせたのに、むせて全然味がわかんなかったじゃねぇか」
「…………ミカン?」
「おう。ちゃんと食ったんだろ?」
「食べたけど?」
ん?
なんでここにミカンが?
「ぁっ……ちょっと!また股間に顔寄せるなよ!ミカンってなんだよ!」
「ミカンは果物だよ。食ったんだろ?」
「嗅ぐなって!恥ずかしいだろ!」
髪を掴んで引っ張って、ようやく股間から呉を引き剥がすことができた。
「しょうがねぇな。よし、つぎお前の番な」
「は……?」
え、こいつ、なんでこんなとこで堂々と股間をさらせるんだ。
確かに立派なイチモツだけど、誰かに気付かれたら通報モンだぞ。
って、ああ、そうだよな。
オレの顔が股間にあれば他の人からは見えないよな……って、頭押すのやめろ!
ああ、やだよう……こんなとこで。
……うわー。がっつり勃ってるよー。
マジかー。
やっぱこいつ神経太いな。
「崇めるように涙目キラキラさせてチンコを見つめるなよ。流石の俺も照れるぞ」
違うよバカ!
こんなとこで、こんなこと、できるわけないだろう!
ふてくされていたら、イケメンな微笑みとともに、優しく慈しむように頬をなでられた。
「心配しなくても、大好物をすぐ飲ませてやるから、早く咥えろ」
くっ……やっぱこいつ最低だ!
オレ、なんでこんなヤツと付き合おうとか思ったんだろ。
大好物をすぐ飲ませてとか……。
すぐ飲ませて……?
あ、そうだ。
こうやってクズグズしてるから、いつまでも周りにバレるかもしれないと冷や冷やしなきゃいけない。
呉は電光石火、疾風怒濤の早漏野郎。
咥えてしまえばドリンクバーのボタンより早く反応して放出するはず。
意を決すると、チラッと呉の表情を確認し、速やかに昂ぶるモノを咥えた。
「くっ、可愛い猫目で見るなよ。俺をキュン死させる気か?」
キュン死って、似合わない言葉使いやがって。きっと少女漫画の悪影響だな。
むぐ……むちゅ……んぐ……んぐ……。
あ、あれ?
まだ?
三ペロくらいでイクと思ったのに……。
んく……ちゅぶ……。
こうなったらちゃんと根元まで咥えて……って、うわっっ!腰動かすなよ!
「呉、まらイかにゃいにょ?っんむ……」
「ふ、ふぁ……赤穂、可愛いすぎ」
可愛いとかどうでもいいよ!!!
……ちょっとだけ嬉しいけど。
「早くイっひぇよ」
「ああ、ごめんな。早く赤穂に大好物のミルクを飲ませてあげたいんだけど、ここファミレスだろ?さすがの俺もちょっと緊張して尿道が締まってるみたいだ」
……はぁ⁉︎ 自分がこんなとこでおっ始めたんだろうが!
「くれっ!はやく出せよっっ!んむちゅ!ンむくっ!んくっ!」
キッと睨んで、必死にしゃぶる。
「ハァ……赤穂のニャンコ睨み、超絶ラブリーだわ。マジ、たまんね」
たまんねーなら、とっとと出せよ!
もう二、三分はしゃぶってる。
早く出すと自己申告した呉の一発目としては異例の長さだぞ。
「ハァ……も、やだぁ……早くイって」
「そんなに飲みたい?」
それしか選択肢がないだろ。
今でも、心の中で店員さんに『ここでこんな事してごめんなさい』って土下座してるんだぞ。
なのに、呉が出したモノをティッシュで処理しようとして、うっかりソファにこぼしたりした日には……切腹?
「ちゃんと飲むから、はやく……」
「『そんな煽るなよ』って、まさにいま言うべき?」
そうだよ、煽ってるよ!
煽り運転並みに、急発進、急ブレーキで、さっさとイケよって煽りまくりだ。
だから、イケっっ!出せっ!イケ〜〜!
「赤穂は本当に我慢のきかない、欲張り子猫ちゃんだな。そんなチュパチュパ音を立ててると、周りにバレるだろ?」
くっ……どうして……。オレの方が周りを気にしてたはずなのに……。
「ァアッ……ン」
この野郎、乳首摘みやがった!
「ちょっと摘んだくらいでイヤらしい声出して。バレるかどうかのギリギリを楽しむなんて、赤穂は本当に淫乱だな」
違う!断じて違う!
不意打ちに驚いただけだ!
確かに緊張で体が敏感になってる気はするけど、それを楽しんだりはしていない!
ああ、もう……周りにチュパ音が聞こえちゃってたかもって思うと、心臓がバクバクして、頭クラクラで、手も震えて……。
うう……絶対鼻息も荒くなってる。
チンコ咥えて鼻息荒くしてるところを誰かに見られたりしたら……どうしよう……えーっと、どうしよう。
ダメだ。頭まわんない、とにかくチンコしゃぶろう。
ん?呉のデカいイチモツが、さらに太さを増した気がする。
これは……。
「はふ……イクならちゃんとオレの口に出しぇよ?一滴でもこぼしたりゃ切腹だからにゃ!」
「切腹?なんだそれ?よくわからないけど、おねだり可愛い」
「ングっっ!?」
さっきオレに文句言ったクセに、予告なしにイキやがった!
とにかく必死で飲み下す。
だって切腹は嫌だし!
……あれ?本当、切腹ってなんだ?
なんでもいい!
飲んで、急いで呉のチンコしまって、口元と涙で濡れた目を拭いて……!
ふぅ……。
「満足そうにため息つきやがって。そんなに美味かったのか?お前、本当、俺のこと大好きだな!」
くっ……好き勝手言いやがって。
「美味しいわけないだろ!バーカ!バーカ!呉のバーカ!」
「え?美味くなかった?マジで?お前、もう一回飲んでみろよ」
「っっはぁ!? なんでだよ!」
「声がデケェよ。さっきも俺をドキドキさせようとエロい声出したり、ングング言ったり。こっちはまだお前のスケベっぷりに追いつけてねぇんだから、少しは手加減してくれよ。……まあ、そんなとこも可愛いんだけどよー」
「……か、可愛いくないし」
くっ……めちゃくちゃひどいこと言われてんのに照れるなよ、オレ!
これだからドスケベだとか、淫乱だとか、スキモノだとかいう誤解がいつまでも解けないんだ。
「それにしてもおかしな。食生活を変えれば精液の味も変わるって聞いたんだけどなぁ。なぁ、マジでマズかった?」
「…………はぁ!? こんなとこで咥えさせられて、味なんかわかるかよ!」
「さっき『美味しいわけない』って言ってたってことは、しっかり味わったってことだろ。なんか違いは感じなかったのかよ」
「そ、それは……だって少なくとも美味しくはなかったし!それに、ファミレスで味の違いなんかわかるわけないだろ!」
「ちょ!声デカい!」
呉に口を押さえ抱きすくめられてしまった。
「おい、『美味しくはなかった』とか、『味の違いがわからない』とか、大きな声で言うのはやめてくれ。ここファミレスだぞ?お店の人が誤解するだろ」
いや、でも、オレ、ドリンクバーしか頼んでないし。
いや、周りのお客さんはそんなこと知らないか。
でも、でも……。
「……なんか納得いかない」
不貞腐れたオレの頭を優しく呉がなでてくれて……。
「赤穂が納得するまでしゃぶらせてやるから、次はもう少し静かに……な?」
「……うん」
そうだ、ファミレスで誤解を招くようなことを大きな声で言ったオレが悪いんだし、もうちょっと静かに……。
「いや、違うだろ!ファミレスはお店の料理を食う場所だし!それ以外の飲食はマナー違反だろ!」
「ああ、俺もチンコを食われるのはさすがに困る」
「違うだろ!の、飲ませようとしてるだろ!」
「別の店で買ってきた商品を飲食してるわけじゃないんだから、問題なくないか?」
「むしろ持ち込み飲食より大問題だよ!とにかく、ファミレスでエッチなことはダメ」
「…………わかった」
呉が嫌味なくらい男前な笑みを浮かべた。
「じゃあ、エッチなことをしてもいいとこに移動しよう。今からだとなかなか見つからないかもしれないけど、頑張って空いてるラブホを探すぞ」
「ええ!?」
腰を浮かそうとする呉をキュッと引っ張る。
「ん?どうした?」
「やだ。ラ、ラブホは、まだちゃんと恋人じゃないからダメ!」
そんなとこ行っちゃったら、もう最後までヤるしかなくなるだろ。
そしたら、告白とかそう言うのがウヤムヤになりそうだから絶対ダメ。
……って言うか、ラブホとか怖い。
ともだちにシェアしよう!