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Ⅲ章 絶体絶命!窮鼠猫に噛まれる②
「顔色悪いぞ、保健室行く?」
「……行かない」
保健室に行ったところで治らない。
……今から就活しようかな
出遅れている。
では留年か
エリートに傷がつく。
はあぁぁ~
どうしよう~
成績優秀
エリート大学生の俺が……国産みをするには、そのっ
体内に性器を挿入しなければならない。
避けては通れぬ道だ。
「ナミの事は大事にするよ」
「そうじゃない!」
「俺、上手いから♪二人でいっぱい気持ちよくなろうなっ」
「そうじゃない!」
だからっ
「お話中悪いが、ここ空いてる?」
「あ、どうぞ」
振り返ったけど、あれ?
視線が合わない。
……背、低いな。
声をかけてきた青年は中学生にしか見えない。
しかし、ここは大学だ。
童顔なのだろう。
「失礼する」
あれ?
あれあれあれ~?
なんで体が浮いたんだっ?
俺の体、童顔のこいつに抱っこされて……俺ッ
膝の上に乗せられている!
「空いているのは隣の席だっ」
ここは俺の席!
ふわり
薫りが鼻孔をくすぐった。
桃の花の……
薄紅の柔らかな香は、記憶の中のあいつに似ている。
ナギの薫り………
ふわり
薫りが記憶をくすぐった。
いつかの夜みたいに
ぎゅっと背中から抱きしめられて
吐息が耳元で囁いた。
「やっと逢えた……母上」
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