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Ⅲ章 絶体絶命!窮鼠猫に噛まれる①

「ナミ!久し振り。体、大丈夫か?」 「あぁ。もう何とも」 体調不良で休学……という事にしてたんだ、俺。 「座れよ。ノート見せてやるから」 「悪いな」 ありがとう、ウイ 変わらず接してくれる親友に、心の中で礼を伝えて隣に座った。 「そうそう。国産み選考に入ったらしいぞ」 「葦原中国のか」 ノートを開いたウイが頷く。 「ナミは間違いなく候補者だし、あとオモダルにアヤ……俺も、かな」 「エェェェーッ」 ウイ! 「お前も候補者なのかっ?」 「失礼なっ」 コツン 参考書が頭を叩く。 「俺も『神世七代』だぞ」 ………知らなかった。 ウイ……成績優秀者なんだ。 「ナミってほんと、自分以外に興味ないよな。 俺が国産みに選ばれて、ナミをパートナーにしたら気苦労しそう~」 「……パートナーって何の話だ?」 「ナミっ、国産みに選ばれた神がパートナーのΩを指名して、二人で国産みするんだぞ!」 「そうだったのかッ!」 ……知らなかった。 …………あれ? ちょっと待て。 いま、変な話の流れがなかったか? (パートナーのΩを指名する……って) ウイはβ ウイが国産みに選ばれたら、俺を?! ウイ! 「お前ッ、まさか俺がッ」 「知ってるよ。大学のパソコンの改竄履歴ハッキングしたから」 β×Ω 「二人でいっぱい子供作ろうな!」 ……って、まさか よもや 国産みって~~ 「ナミ、知らねーの? 国産みって、たくさん子供を産んで世界創造する事なんだぜ」 子孫繁栄♥ 「俺達の子供を殖やして、葦原中国を立派な国にしようなっ」 ……しっ 知らなかったーッ! 俺はッ、エリート大学生の俺はッ なんという猥褻(ワイセツ)な道に、足を踏み入れてしまったんだーッ!!

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