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第14話

結局、情事にふけってもう深夜も深夜、かなり遅い時間に雪弥は彼女に電話をかけた。 ごめんね、悪いけどもう好きじゃない。息継ぎもなくそう言い放った雪弥の電波の先の声は何も聞こえなかったけど、特にゴネるような様子もなく、二、三言のやりとりでそれは終わった。 「なんとなく、流れで付き合ってただけなんで。こんなもんです」 なんでもないことのように言い放つ雪弥は、サイドボードにスマホを置くと俺を腕に抱いてベッドに深く沈んだ。 ついこないだまで体の関係だけだった俺からしたら、手放しに喜べる事でもないし複雑だ。 彼女も、そんな感じだったのか。 そう思い始めたらまたマイナス思考がぐるぐると始まって、雪弥の体にぎゅっと抱きついた。 頭まで毛布を被った暗闇の中で、雪弥の目が俺を射抜いてるのが分かる。 目をそらすと雪弥の手がぐいっと俺の顎を掴んで無理やり目線を合わせてきた。 「でも蓮さんは違う。ちゃんと好き。こんな俺の言葉なんて信じられないかも知れないですけど、これから証明します。」 「……っ」 言ったと同時に、唇に伝わる温度。 クソ。そういうとこ、かっこよ過ぎてムカつく。 「悪いけど俺、本気になったら重いですよ?覚悟してくださいね。」 (蓮さんの全部を、俺のものにしたい。) 耳元で囁くそれは、俺がずっと欲しかったもの。

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