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男のロマンについて研究しているだけです
土曜、昼下がり。
日差しが入り込んだ部屋はポカポカあったかくて、買い物ついでにちょっと散歩でも行くかって雪弥と話してお互い準備を始めたんだけど。
「お前それ何してんの?」
「あ、蓮さんも塗ります?そろそろ日焼け対策しないとやばいっすよ」
洗面台でコンタクトをセットしてリビングに戻ると、さっき着替えたはずの雪弥がなぜか半裸で腕やら首やらに何かを擦り込んでる。
なにそれ、日焼け止め?
そういえば、去年もなにやら熱心に塗ってたなあ。俺はお断りしたけど。
てか男がそんな気にするもんか?
「あー、出し過ぎちゃった。蓮さん塗ってあげますからこっちきて。」
「俺は要らない。」
「年取って後悔しますよ、シミとか」
なんか時間かかりそうだし、ラグの上であぐらかいてる雪弥を見下ろしながらソファでタバコに火を付けた。
ぼーっと眺める雪弥の体は、日焼け対策のおかげが元からか、女みたいに真っ白で、まあ俺も大して外に出ないおかげで日焼けはしてない方だと思うけど。
テーブルの鏡を覗き込んで顔にもそれを塗っていた雪弥が、やっと終わったのかくるっとこちらを向いて膝の上に乗り上げてきた。
その手には日焼け止めのボトル。こいつしつこいな。
「蓮さんも塗りましょ。」
「しつこい。要らない」
「はい、ばんざーい」
そう言いながら俺の口から奪ったタバコを灰皿に捨てて服を脱がしにかかってくる雪弥に、ため息をつきながら仕方なく服を脱ぐ。
なんか雪弥が楽しそうだしいいや。塗ってくれるなら勝手にしてくれ。
「なんで服脱ぐの?」
「デコルテとか首の後ろとか塗りづらいんで。」
「デコルテってどこ…、うわ」
「あ!すみませ、…待って蓮さんストップ」
危な。口に入るとこだった。
雪弥がフタを外したボトル持ちながら服を脱がせてきたせいで、不意に垂れてきたそれが唇から顎に伝った。日焼け止めの独特の匂い。
それを手の甲で拭おうとしたら腕を掴まれて制止されて、目をキラキラさせた雪弥が考えてることはだいたい分かる。分かってしまう自分が悲しい。
「やばい、蓮さんめっちゃエロい」
「きもい」
「顔射かまされたみたいです」
「きもい」
「も、もう一発」
「おいふざけんな」
はい、やめやめ。
まじで顔にぶっかけてきそうなキチガイを膝から下ろしてティッシュで顔を拭う。
不服そうな雪弥がめげずに膝に跨ってきたかと思えば、俺の手を自分の下半身に誘導して。
一瞬触れたそこはなぜか臨戦態勢。
ほんと、なんなのお前。
「興奮しちゃいました」
まあ別に。俺はいいけど。
でも今から始めたら外出る頃には日焼け止め必要ないんじゃないかなって思った。
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