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最終話 千歳

 回収され本殿に収められた本日分の絵馬の一枚を手に取ると、樹貴(たつき)がほわりと嬉しそうに笑った。 「どうした?」 「安産祈願のお礼。双子が無事に産まれましたって書いてある。女の子だって!」 「ほう。めでたいな」  きっとあの時の男だろう。  お宮参りに七五三とにぎやかになりそうだ。  あぁそうだ。  その時期になったら、こっそりと千歳飴をいただいて来よう。  一本分の働きはキチッとこなす。なんなら俺と樹貴二人でがんばって、少し多めに願いを叶え神社の名誉と宣伝に貢献しようじゃないか。  俺は一本の千歳飴を、どうしても樹貴と分け合ってみたいのだ。

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