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「可愛い春菊、君は俺のものだ。誰にも渡さない」  言われて胸が高鳴ったと同時に最奥に突き刺した雄が激しい抽挿を繰り返す。 「あ、ああっ、あああっ!!」  これでもかというくらい春菊の中を幾度も貫いた後、谷嶋自身が限界を迎えた。  ビクン。  春菊の腰が跳ねる。  春菊の鈴口からは二度目になる精を吐き出し、谷嶋もまた、熱い壁により強く締め付けられ、春菊の腹に向かって勢いよく白濁を注ぐ。  互いに絡まりつく熱がいくらか冷めた頃、肌を晒したまま谷嶋の力強い腕の中にいる春菊は、うっすらと目を開けた。 「ね、もし、俺に飽きたら捨ててくれてかまわないから……」  それは春菊の、谷嶋に幸せになって欲しいという想いだ。  悲しいけれど、それでも谷嶋にとってそれが一番ならそれでいいと、春菊は思った。  けっして抱かれる対象ではないと自分に言い聞かせていた彼に抱かれたのだ。  その事実があれば、この先、どんなに苦しいことが待ち受けていたとしても生きていけるとそう思った。 「春菊、俺は君以外何もいらない。二度とそのことは口にしないでくれ。愛しているよ春菊」  同じように目を閉ざしていた谷嶋もまた目を開けた。穏やかな視線が春菊を捉えてくれる。 (ああ、匡也さん……)  匡也のたったそれだけの言葉で、その表情だけで、春菊の胸が熱くなる。  大きな目にはあたたかい涙が溢れ、筋を作って頬に流れる。 「はい……はい……俺も、俺も愛してます……」  春菊は谷嶋の広い胸に顔を沈め、熱い涙を流した。 *終幕*

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