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episode.2-1 「Dependence on…」

「お早う御座います」 午前7時。薄暗いメインルームに出勤した萱島に、戸和の朝から完璧な発音が届いた。 「おはよ」 「遅くなりましたが職員名簿と簡単な案内資料です。宜しければ」 「おお…さすが戸和君」 「始業まで休んでいて下さい、俺は少し席を外しますので」 「…外す?何分?」 「15分程度ですが」 何だお前は、とでも言いたげに戸和が此方を見た。 彼の視線は尤もだったが…何故だろう。 右も左も分からぬ研修中という状況を差し置いても、僅か15分、隣にこの青年が居ない事が物凄く不安に思えてきた。 「俺、お前の事好きなのかな」 「…はあ?」 生ゴミでも見るかの如き目を向けられた。 さながらセクハラを受けた女性社員の様だった。 「あの、何でもありません」 「そうですか。では何かあれば下に居ますので」 萱島はもう何も言わず、大人しく部下を見送った。 何だか朝から、心に尋常でないダメージを受けた。 欠伸をしながらやってきたC班のリーダー、牧がきょとんと項垂れる主任を目にして脚を止める。 「主任?生理ですか?」 「違うのよ牧君、わたし失恋したの」 「えーやだ先輩、元気出して下さいよォ」 牧が裏声を捻り出した。面を上げると、前髪に隠れて表情の見えない顔があった。 萱島は彼が手にしていたゲーム機を奪う。 当然の如くエロゲである。 C班班長、牧陽士。又の名をエロゲニスト(海堂曰く、1年を通して基本エロゲの事を考えている人)。 自身も制作を手掛ける、(エロゲに関する)凄腕のプログラマーだった。

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