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本部では月初に定例ミーティングがある。 責任者を交え予算やら目達やら業績報告が主で、その日は30分程度始業が早い。 唯でさえ寝る時間の少ない社畜は、1日は殊更に目つきが悪い。 尚、この日メインスクリーン手前には、久方振りに定例に姿を見せた社長が居た。 隣にはPCを操作する主任が控えている。ただ、どう見ても半分寝ている。 「俺からの話は以上。今月から資格手当の額が上がるからな、皆積極的に取って行けよ。栄養士とか何の役にも立たない資格は取るなよ」 特定の人をディスるのは感心しない。 萱島は欠伸を噛み殺し、社長を非難した。 「細かい事は手元の資料読め。以上。さっさと質疑応答に移ります」 言い終えるや、牧がやる気無く手を上げた。 因みに彼の睡眠不足の原因は、決して残業の所為ではない。 「班長代表の牧です」 「知ってます。毎年言ってるけど名乗り要りませんから」 「えー、以前から申し上げて居りますが、事務員の採用を早急に願います。業務内容の幅が広過ぎて、本来の仕事もままならん状態です。社長がやれば良い、死んでくれという意見も多数」 「おい」 「直に新人も入る予定なんで、要らん研修をやるハメになる前の対応をお願いします。まあ後はね、シーズンメモリーの2作目が近日発売予定なんで…さっさと予約しろよお前ら!」 「うるっせーんだよ。引っ込め。事務に関しては今選考してませんで、暫しお待ち下さい」 宣伝を決めた後、満足して牧は席に着いた。 謎のどよめきが起こる。 落ち着いた頃、今度は萱島が手を上げた。 彼は社長からマイクを奪い取り、眠い目を擦りながら口を開いた。 「主任の萱島です」 「要らんっつってんだろ」 「そろそろアラサーの社長ですが…先月のうちの社員の平均残業時間はご存じですか?」 「189.5時間」 さらりと返す社長に対し、背後から強烈な野次が飛んだ。 ブラック!悪徳!等と口々に職員らが詰る。

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