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(Side鈴)

…………ここ…………落ち着く…………………… ……暗くて……誰もいない…………狭い場所…… ……誰にも邪魔されない…………好きなだけいられる…………だけど………………なにか大切なことを忘れている気がする……………………なんだっけ…… …………なに……うるさい……………………… 外が騒がしい…………この声……なに………… 思い出さなきゃいけないなにかがある…… けれど思い出したくない…………………… でも思い出せないと大切ななにかと会えない気がする…………どうしてそう思うんだろう…………… 『…………ん…………り………………りん…………鈴』 聞いたことある声が外から聞こえる……………… あぁ……落ち着く声………………………………………… 初めて聞くはずなのに初めてじゃない感じがする……………………君は…………だれ………?……………… 『……かえっ……きて…………り…………す…だよ……』 かえっ……きて?…………帰ってきてっていってるの?…………俺ここから出たくない……………… ずっとこの暖かいところにいたい…………………… …………もう……このままでいいよ…………………… 『鈴……好きだよ…………早く……目を開いて……』 ………………え?………………俺、目、開いてるよ…? ……………………開いてるのが見えないのかな…… 目を開けていることを証明するために………… ………………俺はこの暗い部屋の中の扉を探した…………………… 扉ないじゃん………………あぁ…なんか……目を開いてるって証明するのもめんどくさい……………… ……もう眠いよ………………寝ていい……?…………… 寝そうになっていると…………………… 『……鈴!!鈴っ!!嫌だ……いくなっっ!お願いだっ…………お前に……俺は…………伝えたいことがあるんだ…………行かないで…………………… お願いだから…………そばにいて………………いくな…………』 その切ない声を聞いて…………あ……と思い出す………… この声……晴也だ…………そうだ…………俺……帰らなきゃ…………ここから出て…………晴也のもとに…… ごめんね…………遅くなったね…………今帰るよ…… …………愛しい人………………… 俺は暗い部屋から出るために壁を叩き始めた………… バリンっと音を立てて……壁が壊れた………… 眩しい………………… 上を見上げると……目の前には………… ……げっそりと痩せた……愛しい人がいた…… あぁ…………こんなに泣いて………… 俺はそろそろと手を伸ばして……涙を拭った………………… 目の前の愛しい人は……驚いた顔をしたあと……安心したかのようにポロポロと涙を零し始めた…………俺の手にスリスリと頬を擦り付けて…… 晴「おかえり…………鈴…………っ……」 鈴「ただいま…………晴也…………」

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