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☆1
────ある日の朝。
『うー・・・このパン・・・・』
『あら?口に合わなかった?』
目玉焼きと一緒に出された
焦げ茶色のライ麦パン。
ただ、カットされただけの。
『んー・・・・なんかさ、この酸っぱいパンを
そのまま出すのはどうなの?って思うんだけど。』
『うっさいわね~、朝から。』
『どーせなら
スモークサーモンとクリームチーズとか挟んでさ
サンドイッチにしてほしかったよ・・・・。ぐすん・・・』
『はあ!?そんな洒落たモノ、うちにはありません!』
『スライスした玉ねぎ、いっぱい入れて・・・
サワークリームでもいいんだけどな・・・・』
『だから、ないっていうの!!
もう!嫌なら食べなくていいですっっ!!』
母さんにお皿を取られそうになって
慌てて引き寄せた。
『た、食べます!食べますっ!』
『もー、なによ。あんたがパン好きだから
買ってきたのにさ・・・・あ、酸っぱ!』
『・・・・・・・。』
あ───、もうっ!
違う!!
違うんだよっ!!
確かにパンは好きだけど
パンなら何でもいい訳じゃない。
おいしい食べ方とか、
おいしい相棒とか、
色々あるんだよ!
どうせなら美味しく食べたいじゃんか!
『わー、酸っぱ』
『・・・・・・・・』
はあ・・・・
分かってないなぁ・・・・・
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