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走って走って・・・ 階段を駆け上がって 辿り着いたのは、屋上。 『はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・』 激しく打つ心臓。 胸が苦しくて、痛い。 でも、このくらいの痛みが・・・ 今の自分には丁度いい。 そんな気がして、 荒い息を吐きながら、フラフラと フェンスの所まで歩いて行って 外の景色を見ながら、座り込んだ。 あの時、自分の中に沸き起こった感情。 キスしたい? ・・・・・って 友達に・・・そんな事、思うか? でも。 蓮が女の子の話をするのがイヤで、 蓮が女の子とつきあうのもイヤで、 蓮と一緒にいれなくなるのがイヤで、 キスまでしたいなんて。 ・・・・って、こんなの・・・まるで・・・ 『まさか・・・ね』 好き・・・・・・? いや、好き・・・ ずっと好き・・・なんだけど それは友情? それとも恋? 『・・・・・恋・・・』 恋してるのか・・・?俺は。 蓮に。 親友に。 そう思ってみれば・・・なんだか全部が しっくりくる。 『・・・・・・恋・・・』 これが恋・・・ そっか・・・恋なのか・・・ 『バカみたい・・・・』 言えない。 言える訳ない。 蓮に・・・嫌われたくない。 蓮に対する気持ちが分かっても、 どうする事もできない。 その現実に・・・ さっきとは違う胸の痛みに、 耐えるようにギュッと ・・・目を閉じた。

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