26 / 156

★6

『佑真。』 ドキッ! 突然、名前を呼ばれて 心臓が止まりそうになる。 うう・・・俺の心臓、 今日 ドキドキしすぎ・・・・っ! ホントに止まったら どうしよう・・・ 座り込んだまま、後ろを振り返る。 歩いてくるのは・・・ 『孝之介・・・?』 『なになに?ここってトイレだっけ?』 『う、うるさいなっ////』 孝之介は、一応 友達・・・だけど なんだか掴み所のないヤツだ。 頭は すこぶる いい・・・けど その素晴らしい頭で なにを考えているのか さっぱり分からない・・・。 そして・・・ 何もかもを見透かされてる・・・気がする。 『佑真はさ。』 言いながら、隣に座る。 「はい」と、手渡されたのは 俺が好きなコーヒーで。 こういう所、妙に気が利くし・・・ 実は いいヤツ── 『蓮が好きなの?』 『───っ! ぶはっっ!!な・・・っ?』 あまりにも、ストレートな言葉に コーヒーが気管に入ってしまい 思い切り むせる。 前言撤回! コイツは気なんて利かないっ! そして、いいヤツでもないっ! むせ続ける俺に、少しは悪いと思ったのか 孝之介が背中を叩き出す。 『大丈夫?』 『ゴホッ・・ゴホッ!』 『あはは。ごめんねー?』 『ゴホッ・・ゴホッ!』 トントンからドンドン 背中を叩く手に力が増していく。 『ねぇ、大丈夫?』 『痛・・・っ!痛いわっっ!!』 『あはは。止まったね?』 『・・・っ・・(怒)』 『よかったよかった』 涼しい顔で、何事もなかったかのように 自分の飲み物・・・ミルクティーを優雅に 飲む孝之介。 むむぅ。 やはり、掴めない。 『───で?蓮が好きなの?』 『・・・・・・・・・』 それ、また聞くの? つか、コイツに嘘ついてもなぁ・・・。 どうせバレてるんだろうし。 『・・・ああ、好きだよ!!悪いか!』 『悪いなんて言ってないでしょ?』 『俺は さっき気づいた。バカだ、俺。』 『ああ、うん。バカはバカだね。 それも さっき気づいたの?遅くない?』 『─────はぁ!?はあぁ!? なんなんだっ!お前ぇぇ・・っ!!』 『だって、ホントの事でしょ?』 『・・・っ、バカにするより前に慰めろよ!』 『──は?なんでよ。終わった訳じゃあるまいし。』 『──は?終わってるだろーがよ!』 『そんなの分かんないじゃん。』 『分かんない?なワケねーだろ! 始まる前から終わってんだよ。男だぞ、俺!』 『うん。そうだね。』 ・・・・・・そうだね? だから・・・ それ、もう終わってるって事じゃん。 なのに なに言ってんの?コイツ・・・ やっぱり、なに考えてんのか分からない。

ともだちにシェアしよう!