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******* ・side ******* 『佑真・・・・っ!』 走って行く佑真を呆然と見送る。 どういう事だ? 孝之介じゃない・・・? でも、好きだって言ってた。 言ってたじゃんか・・・。 『あ~あ。行っちゃった。バカだねー。』 孝之介の間延びした声がする。 『・・・バカぁ?なんだよ!お前は!』 『なにが?』 『つーか!今のどういう事だよ!説明しろよ!』 『なんで?』 『なんでって・・・お前、なんか知ってるんだろ?! 佑真の好きなヤツが誰か、とか・・・!』 『それ聞いてどうすんの?』 『は?・・・どう・・・するって・・・・』 『佑真が なんで蓮に相談出来ないか、 考えてみた事ある?』 『・・・え。なんで・・・・・?』 『そう。あ、そうだ。俺もね?別に はじめから 佑真に相談されてた訳じゃないからね?』 『・・・・・・え?』 『たまたま偶然 知っちゃっただけなんだよね~。 佑真、誰にも言えなくて悩んでたみたいだから 聞いてあげてたんだ。』 『なんだよ・・・それ。たまたまってそれ、 卑怯な手口じゃないだろうな?!』 『───卑怯な手口?って、なにそれ? コソコソと後つけて、勝手に盗み聞きしてるヤツに 言われたくないんですけど。』 『・・・・・・・・・ぐっ・・・』 俺の言葉を しれっと交わす孝之介。 しかも、グサッと 心臓に刺さるような 一言に、俺はぐうの音も出ない。 くっそー。 コイツのこうゆうとこ、マジで嫌いだっ!

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