35 / 156

★15

蓮のこんな表情は、見たことなくて・・・ 足がガクガク震え出す。 どうしよう。 どうしよう。 何を言ったらいいのか 分からなくて 時間が止まったように動けない。 『なんでだよ・・・』 『え・・・・・?』 『なんでウソつくんだよっ!』 『え・・・、ウソ・・・・?』 『ウソついただろ!?』 『・・ちが・・・っ!俺、ウソなんか・・・』 『今!たった今!孝之介が好きだって 言ってたじゃんか!』 拳を握りしめ、俺を睨んで 蓮は怒りを爆発させる。 『今のは・・・』 『なんで・・・!俺には言えないのかよ!』 ・・・違う。 違うのに・・・! 言ってしまったら、楽になるの? 言ってしまったら・・・ 蓮は・・・・ 俺を・・・・どう・・・思う・・・? 俺のコト・・・・ どう・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ダメだ・・・ やっぱり、言えない。 俺に言えるのは・・・ 『孝之介じゃない。』 『え・・・・?』 『孝之介じゃないっ!』 俺に言えるのは、これだけ。 信じて・・・。 信じてよ・・・! 悲しくて涙が出そうになる。 泣き顔なんか見られたくなくて、 俺は・・・屋上から 蓮から・・・逃げ出した。

ともだちにシェアしよう!