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☆16
なんて、1人で焦っていると、
『青少年は・・・長男か?』
と、聞かれた。
『・・・・・・はい?
あー・・いえ、大学生の兄がいますけど?』
───って、
いきなり、なんだろう・・・?
??なまま、答えると、お父さんの目が
キラリーンと輝いた・・・気がした。
『ほぉ!そうかそうか♪』
『・・・・・・え?』
なんだ?
なんか、
いきなり 超ご機嫌なんだけど。
『あの・・・・なにか・・・?』
『青少年!』
ご機嫌な顔から一転、
今度は突如、真面目な顔に変わるお父さん。
『は、はい・・・・?』
だから、なんなの?
超 怖いんスけど。
『お前、うちに嫁に来んか?』
『・・・・・・・は・・・?』
・・・・・・はい?
今、なんつった?
嫁に・・・来い・・・とか
なんとか・・・
『・・・・・・・・・』
嫁?
嫁・・・っ?!
お、俺がっ!?
嫁ぇぇ!?
『よ、嫁って・・・』
お父さんの口から飛び出たありえない単語に
汗が ダラダラ流れ出す。
『あ、あの・・・マジ・・・・・・っすか?』
『ん~?うん。まー、そりゃ冗談だけどな。
はっはっは!』
『・・・・・は?』
じょ、冗談?
冗談なの?
冗談で “嫁に来い” とか言ったの?
この人・・・!
ビックリし過ぎて なにも言えず
時が止まったみたいにビッキリ固まっていると
お父さんは、「よっこいしょ」と立ち上がった。
そして、店へと続く戸を開けて
謎の間をたーぷり開けてから振り向くと、
ニヤリと笑った。
『ま、冗談はともかく、
これからも圭と仲良くしてやってくれ。』
『へ・・・?あ、もちろんですっ!』
『頼んだぞ、青少年。』
『はい!あの・・・俺、大和です!』
『はいはい。
じゃあな、───青少年』
お父さんは まるで俺の名前には興味がないって感じで
適当に返事をして ヒラヒラ手を振ると
部屋を出ていってしまった。
『・・・・・・・・』
・・・な、なんだったんだ・・・
───いや。
つーかさぁ、
嫁だなんだって意味不明な冗談を言う前に
俺の名前を覚えてくれ・・・
お父さま・・・
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