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☆24
暫し、3人で抱きあって
濡れた頬っぺたに やっと なんとか
なんとか慣れた(というか諦めた)頃・・・
ふと思い出した。
何か大事な事を忘れてるような・・・
んー?
んーと・・・なんだっけ?
パン・・・
パンの事だった・・・気が・・・
んんー?
あ。
あ!
思い出したっっ!!!
『け、圭・・・・』
『なぁに?大和くん。』
きゅるん、と涙に潤んだ瞳で
俺を見上げる・・・圭。
う、うおぅっ/////!
かわいい!
いや、そうじゃなくって!
『えと、あの・・・あんぱん・・・大丈夫・・・・かな?』
『あんぱ・・・?あん・・・・・・・、あーっ!』
“ 二次発酵してたんだった!! ”
と、
バタバタと、2人で作業場に走る。
発酵器の中を見ると・・・・
『あ、よかったぁ。ちょうどいい感じ・・・』
『マジ?よかったー!』
『じゃあ、最後の行程しよっか』
『うん!』
天板を出して、卵液をぬって、
黒ごまを振りかけて、余熱したオーブンへ。
『後は焼くだけ。』
『うわー、何分?』
『んーと、13分くらいかな。』
『あ、焼くのは早いんだ。』
『そうだね。』
『うーっ!楽しみ♪』
丸イスに腰掛けて、焼き上がりを待つ。
その横で、お父さんが午後のパンを
作り始める。
その手慣れた仕事ぶりを見ながら
圭と将来の事を話した。
現実的な事から、夢まで。
それは、すべてがキラキラ輝いていて
これから歩んでゆく圭との未来が
揺るぎなく明るいものなんだって
そう思えた。
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