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***大和・side ***
『ただいまー。』
『あ、おかえり。大和。』
『おかえりー。』
名残惜しく 圭と別れて
自宅に帰って来た。
リビングに入ると、母親と
いつもは帰りの遅い父親が珍しく
ソファーに座って テレビを観ていた。
『あれ。父さん、珍しいね。』
『ああ、たまにはな。お前の顔見ないと
忘れそうだから。』
『は?逆だろ、普通。
父親が子供の顔 忘れる とか、ある?』
『んん?そうか?んじゃあ、逆で。』
『じゃあ って・・・・』
『大和、父さんを忘れるなんて酷いじゃないか!』
『そうよ、酷いわ!大和。』
『・・・・・・・はあ?』
『大和ぉ、忘れてるかもしれないけど
俺がお前のお父さんだよー♡』
『思い出して、お父さんよー♡』
『・・・・・・・はいはい。』
まったく、もう。
俺の両親 は いつも こんな感じだ。
よく言えば、
面白くて 楽しい両親 なんだけど
ノリがよすぎて疲れる事も しばしば。
ま、堅物で 冗談が通じないよりは
いいけどね。
『あ、そうだ。はい。これ、今日のパン。』
『きゃー!ありがとー♪』
母親に渡したのは、圭のお店のパン。
最近は、店番も しっかり出来るように
なった俺に お義父さんが、バイト代の
代わりに 売れ残りのパンとか、
新作のパンとかを くれるようになった。
で、母親は 毎回 それを楽しみにしている
って訳。
早速、袋の中を見て、感嘆の声をあげる母。
父親も一緒になって覗き込んでいる。
『きゃー!今日は カレーパンね?』
『おお♪
これがウワサの大和がお熱なパン屋のパンか♪』
お熱、って・・・(笑)。
しかも、お熱なのは、パンじゃなくて
圭だから。
・・・なんてな♪
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