121 / 156
☆3
*** 大和・side ***
────っ!
こ、この声は・・・・
『げ。佑真・・・・!』
み、見られた・・・!
よりにもよって、こんな所を。
慌てて立ち上がる俺 (と、蓮 ) 。
だけど・・・・・・
『きゃあああ /////!』
『お・・・・ら、なに・・・・て・・・』
(お前ら、何やってんの?!)
『ゆ・・・・・ちが・・・・だ!』
(佑真!違うんだ!)
『きゃあああ!キスしてるぅー///!』
女の子の(なぜか)嬉しそうな叫び声に、
俺たちの声は かき消されてしまう。
そうする内に、佑真は くるりと
踵をかえすと、教室を出て行ってしまった。
『ま、待てよ、佑真!』
蓮も、すぐに その後を追って
飛び出して行く。
『あ・・・・・・・・』
お、俺も追うべき?
と、悩んでいると
『あらら。
倦怠期じゃなくて 修羅場だねぇ。』
騒然とする教室の中、のほほんとした
孝之介の声が、はっきり耳に飛び込んできた。
さすがに、そりゃないだろ・・・・
さすがの俺でも ちょっとムカつくぞ?
この鉄火面め。
『お前な・・・・心配じゃないのかよ?』
振り返って 思いきり睨む・・・・が。
俺の睨みなんて
気にするようなヤツじゃない。
っていうか、まず俺をまったく見ない。
『おい、孝之介・・・孝之介?
孝之介ぇ~?
おい・・っ・・おーい!』
何度か 呼び掛けても、目線はスマホに
向けられたまま。
『もー!孝之介!』
咎めるように、少し大きな声をあげても
孝之介は スマホに夢中。
『・・・・・・!』
むかーっっ!!
くっそー!
なんなんだ、コイツは!
もう、知らん!
追いかけよう。
俺が・・・・何とかしないと!
追いかけようとした、その時。
『あの2人なら、放っておいても
大丈夫だと思うよ?』
漸く 気がすんだのか、ポケットに
スマホをしまいながら孝之介が言う。
やけに自信たっぷりな口調で。
『え?・・・大丈夫・・・・って?』
『うん。もう戻ってくるんじゃない?』
『えぇ・・・・・・?』
なんで分かるんだ?そんな事。
ポカンと立ちすくんでいると
ガラガラッと扉が開いて、
ホントに2人が戻ってきた。
わ・・・・、
ホントだ・・・・!
『ほらね?』
『・・・・・・・・・うん。』
なんで分かったんだ・・・。
スゲーな、孝之介。
ともだちにシェアしよう!