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幸人2

  汚れきった自分を、「綺麗だ」と言う。 痛みに快感を感じる壊れた自分を、「ぴったり合う」のだと言う。 人殺しの自分を、「可愛い。愛している」と言う。 この男は…… 「幸人。愛している。俺の名を呼んでくれ」 「あ……しのぶ……あ!」 犬塚の体の奥深くで、竜蛇の雄がドクリと脈打った。 「嬉しいよ。お前に名を呼ばれるとたまらない気持ちになる」 こんなことでこの男は嬉しいのだと微笑むのか。犬塚は震える唇を舐めて言葉にした。 「しのぶ……志信……ああ……」 「幸人……可愛い……お前は俺のものだ」 「あ! あっあっ……はぅ、ああ!」 ゆるゆると揺さぶりながら、竜蛇は甘く囁き続けた。 「俺はお前のものだ」 「し、のぶ……あ!」 「俺はお前を支配したい。お前の全てが欲しい」 犬塚は下肢から湧き上がる強烈な快楽に耐えながら、竜蛇の声を聞いていた。 その声は犬塚を縛り、導く、怖いのに蕩けるように甘くて……ずっと聞いていたくなる。 「お前も俺を支配している。俺を破滅させるとしたらお前だ」 「あぁ、あ、はぁあ」 自虐めいた微笑を浮かべて、竜蛇は犬塚に何度もキスをする。 「愛している。俺の腕の中に堕ちてこい。どんなお前でも欲しい」 「あ……」 「俺とお前は一蓮托生だ。お前だけが俺を殺せる。いつだって殺して構わない。だからお前の全てを見せてみろ。なにもかも、俺に寄こせ」 竜蛇は恐ろしいが、甘い視線を犬塚に寄こした。この男は自分に嘘は吐かない。本気で殺してもいいと言っている。 だから隠してきた傷も、穢れた部分も、醜い欲望も、すべてを寄こせと言っているのだ。 「あ……もっと……もっと、酷くして……ああ!」 「いいぞ。酷くしてやる」 「痛いのが……気持ちいいんだ……あ!あ!俺は、おかしいんだ……ああ!!」 竜蛇がパンッと犬塚の頬を強く張った。二度、三度と掌で打った。 「おかしいお前が好きなんだ。俺はお前を痛めつけて鳴かせたい。俺も頭がおかしいからな」 竜蛇が残酷で美しい笑みを浮かべる。そして、犬塚の体を引き裂くように、大きく突き上げた。 「ひ、ぃいい───ッ!!」 逃げを打つ上半身を押さえつけ、凶器のようなペニスで犬塚の最奥を犯す。 「ああ! イイ!……きもち、い……あ! もっと……もっと、ぶって」 求められるままに犬塚の頬を張り倒した。唇の端が切れて血が滲む。 竜蛇は黒髪を鷲掴みにし、犬塚の血を舐めた。犬塚は大きく口を開いてキスを求めた。 「んん……んむぅ……うううッ!」 激しく唇を貪りあいながら、竜蛇は犬塚の後孔を貪欲に責め苛む。犬塚は激しい快楽に耐えきれず、大きく痙攣してドライオーガズムに達した。 「───ッッ!……ああッ!!」 「……ッ……は、尻だけでイッたのか。淫売め」 「はぁっ……あぁああ……」 竜蛇は休ませることなく、更に後孔を責めた。そして犬塚のペニスの根元を掴む。 「ヒィツ!」 「お前は雌犬の孔だけでイクんだろう。こっちは可愛がらなくてもいいな」 「嫌だ! ……いや……ああ!」 「はっきり言え。幸人」 幸人と呼ばれて犬塚は「ああ」と、唇を戦慄かせた。 「イキたい、射精したい……そこも……痛くして……あ!」 ギリ、と強く掴まれ犬塚はビクンっと跳ねた。 「……淫売め」 「あ、あぁあ……いい……志信……もっと……あ!」 竜蛇は犬塚のペニスに爪を立てた。表皮が切れて血が滲む。だが犬塚にとってはそれも快楽で、甘い悲鳴を上げ続けた。 「あっ! あっ! きもちぃ……俺、間違ってるんだ……こんなことが……あああ!」 「お前は何一つ間違ってなんかいない。淫らで、綺麗だ。愛しているよ」 「志信……ああ!」 「俺をここまで夢中にさせた責任を取れ。一生離さないから覚悟をしろ」 竜蛇は恐ろしいが甘美な宣言をして、犬塚に甘く口付けた。

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