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長い一夜 6

「な、ないです……もちろん。でもちょっと待って」 「待たない」  完全に紐をほどかれて、そのまま引き寄せられた佑月は須藤に唇を()まれる。 「ん……」  徐々に深くなっていくキス。  どちらのものか分からない唾液も、飲めない分は唇の端を伝いこぼれていく。ゆっくりベッドへと倒されていくが、佑月はなすがままでキスに応えるのに必死だった。  そして須藤がキスをしながら自分のバスローブを脱ぐ気配。初めて触れ合う肌の感触に、佑月は須藤の口内で喘いだ。  驚くほどに熱い須藤の身体。長いキスがようやく解かれて、呼吸が乱れる佑月のおでこや瞼、頬に軽いキスが落とされていく。  そして須藤は自身の身体に巻き付いているバスローブを、完全に脱ぎ捨てた。その身体を見て、佑月は思わず息を呑んだ。 (凄い……)  スーツの上からでもその体つきは分かっていたが、実際に脱いだ身体を見ると、これはもう見事だとしか言い様がなかった。  厚い胸板に、綺麗に割れた腹筋。  逞しい上腕二頭筋。  彫り物のように美しい筋肉は、素晴らしいの一言に尽きた。貧弱な身体の佑月にとっては憧れるものがあった。 「どうした?」 「……いえ、何でもないです」  悔しさから、はぐらかす佑月に須藤は深く突っ込むことなく「そうか」とだけ言って、佑月のバスローブも完全に取ってしまった。 (あぁ……俺は本当に……須藤とヤってしまうんだな)  お互い下着はまだ着けているが、結構恥ずかしいものがあった。目線も何処に向けたらいいのか分からない。そんな佑月の気持ちなんて知る由もない須藤は、再び深いキスをしかけてきた。  素肌同士が密着して触れ合い、須藤の手は佑月の太股や上半身をスルスルと滑っていく。その感触にいちいち身体が反応するが、それは決して嫌悪感からではなかった。  触れられる箇所が、熱く敏感に反応し、佑月の目頭を熱くさせた。 「あ……」  須藤の長い指が胸の周辺を這っていく。頂を避けて周りばかりを触れる指。須藤の唇も上半身へと落ちていくが、胸周辺の愛撫だけで、相変わらず先端には触れてこない。  それがなんだか、もどかしい。 「身体でねだるのもいいが、口で言ってみたらどうだ」 「……え?」  一瞬言われている意味が分からなかった佑月だったが、直ぐに理解すると頬を紅潮させた。 「そ、そんなことしてない!」 「ふぅん。もどかしそうにこの腰は揺れていたがな」 「あっ……」  スッと腰を撫でられただけなのに、佑月の口からは声が洩れた。 ──もう、イヤだ……。  身体は熱くなる上、女みたいに声を上げる。そんな自分に戸惑いを覚える。  そもそも自分がそこに触れて欲しいと思うなど、以前なら考えられなかった。  そこは男にとっては飾り程度のものでしかなかったのに。

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