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after story 43
「そんな事を言ってるんじゃないから。傷口開いたらどうするんですか!?」
「ほう、緊張していないと言うなら、それを見せてもらおうか」
「は? いや、今そんな話してないでしょ」
上半身は裸で、スラックスは履いたままの須藤は、横幅がベッドと同じ大きな枕に背を預けると、まるで傍観体勢のような姿勢を取った。その時に目に入った傷痕は確かに生々しいが、完全に塞がり、開くことはなさそうだと分かり佑月は安堵した。安堵はしたが、この先佑月は一人ベッドの上でどうすべきかと頭を悩ませた。
その中須藤は愉快そうに佑月を眺めている。そんな須藤に、その余裕の態度を崩してやりたいという気持ちが、俄に湧いてきた。佑月は部屋着として与えられたスウェットの上着を、男らしく一気に脱ぎ捨てる。そして、ズボンに手を掛けながら須藤に視線を遣る。
「なら、俺がいいって言うまで、俺には絶対に触らないでくださいね」
須藤が片方の眉をピクリとさせるのを見ながら、佑月は下も脱ぎ捨てる。もちろんストリップショーを見せたいわけではないから、下着も一緒に脱ぐ。そして佑月は大胆にも、須藤の脚を跨いで膝立ちをした。
「ほぉ……」
須藤は枕から少し背を離して、佑月の腰をするりと撫でてきた。
「ちょっと、触るなって言っただろ」
佑月はペシリとその手を叩き落とす。
「あぁ……悪い悪い。なら、次はどうするのか早く見せろ」
「わ、分かってるよ」
とは言ったものの、実はノープランだ。自分から誘惑するというスキルを持ち合わせていない佑月にとって、この先どうすればいいのか正直分からない。
チラリと須藤に視線をやれば、じっと佑月だけを見つめている。するとその視線が下へと降りていく。そしてそれは胸部で止まる。佑月の乳首は触れられてもいないのに、見られていると強く意識してしまうだけで、ジンジンと硬くなっていった。
──熱い……。
佑月は無意識に指を自身の乳頭へと這わしていった。
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