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「考えて。答えは来週な」
いつもの表情に戻ってニヤリと笑った。
俺の返事なんて聞く気もなく立ち去っていく。
俺は……どうすればいいんだろう……?
心臓が痛いほど高鳴る。
なんて奴だ、俺をかき乱すなんて。
でもあいつしか乱すやつはいない。
だから?
何を言えばいい?
何を期待されている?
今まで考えたことないようなことを考える。
あいつの望みどおりの答えを返したい。
俺が俺を捨てて何が残るのだろう。
遊木の考えが知りたい。
来週を考えるだけで、高鳴る胸がつまる。
俺はそれから徹底的に遊木を無視した。
どんな顔をしていいかもわからない。
遊木も誘ってこないので、来週何を言えば良いのかと、悩みながらその日が来るのをわくわくしながら待っている。
俺の考え悩んでいることが遊木の考えていることとまったく違っていたらどうしよう。
そしたらまた同じ日常に戻るのか。
堂々巡りをしながらまた、1日が過ぎる。
なんにも聞いちゃいないのに授業に真面目に出続け、中間テストが近いことを知った。
勉強しなければと思い至る。
なんにもしなくてテストの点がとれる奴なんていない、俺は姉と両親のために成績上位を狙い続ける。
数学のテキストをひたすら説いていると遊木のことを考えなくてすんだ。
中間テストの勉強に必死になると、あっという間に来週が今週になってテスト期間に入る。
テスト期間は学校が早く終わる。
俺はそわそわしていた。
遊木は試験なんてあんまり気にしない。
姉と早く帰って遊んでいたくらいだ。
いつ呼び出されるかとヒヤヒヤしてドキドキした。
久しぶりに遊木の顔が見れることが楽しみだった。
中間テストは終わってしまった。
遊木が姿を見せない。
俺から誘うのは癪に触るし、あいつの質問の答えが用意できてるみたいで嫌だった。
実際俺は何も用意できちゃいない。
振り回されて、かつてないほどペースを乱されているだけだった。
考えても無駄なことはもう止めよう。
俺は俺のペースを取り戻さなくてはならない。
中間テストの結果は9位。
真面目に勉強したわりに上の空だったのか、順位が落ちている。
もう、そんなことよりもいまだに姿は見せれど目も合わさず、俺にはしゃべりかけてもこない遊木に、イライラするばかりだ。
遊木の気配に翻弄される。
俺を『見張ってる』のは確かだ。
何もかもが限界だった。
遊木と話がしたい。
いつものように何気ない話を。
俺とは目も合わさないのに他の奴とは楽しそうに話す遊木にイライラした。
『見張っている』のは遊木なのに、見ているのは俺だけのように思えた。
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