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我が身を貫かれる久々の感覚に久也は喉奥で呻吟する。 最初は中指、次第に余裕が生じると、薬指を追加されて。 松本の二本指で後孔奥の最もいいところを執拗に刺激され続けていた。 「あ……だめ、そんな……続けたら……っ」 布団を汚すのは申し訳ないからと、畳にバスタオルを敷き、その上で四つん這いになった久也はぶるぶる震え出す。 すぐ傍らに真っ裸で座り込み、浴衣を捲り上げて現れた尻の割れ目に手を滑り込ませ、さらに奥へ突き入れた指を蠢かせる松本に中断する素振りはまるで見られない。 「大丈夫ですって……ね、もっと力抜いて……?」 耳元で優しくそう言って聞かせ、指による抽挿を繰り返す。 前立腺を絶え間なく攻められる。 さらにその奥も、後孔の入り口付近も、ぐりぐりと撫で上げられる。 触れられてもいないのに、股の間で久也のペニスは勃起し、先走りの糸を途切れさせることなく滴らせていた。 「や……っだめ……っっ」 反った二本の指が痙攣じみた振動を連続して体内に送り込んでくる。 よすぎてどうにかなりそうだ。 堪えきれず畳に突っ伏し、腰だけを宙に掲げた状態で、久也は声を詰まらせた。 「んぁぁ……んっ」 後孔への刺激のみで久也はとうとう達した。 食いつかんばかりに松本の指を締めつけて、しどけなく、射精した。 「あ……あ……あ……」 「……久也さん、トコロテンしちゃいましたね」 ずるりと松本の指が引き抜かれる。 びくびくと打ち震える背中を一撫でし、次に、白濁を噴出したばかりのペニスをおもむろに握り込んだ。 「ひっ」 「すごい、こんな濡れて……それに、まだ硬いです」 「や……っ」 「糸引いて、ぬるぬるしてて、すごく、やらしいね……」 突っ伏していた久也を丁重な手つきで仰向けにする。 解けかけた濃紺の帯、白地に藍色の模様が走る浴衣は肌蹴て、紅潮した肌を薄明かりに曝していて。 上下する胸の突端では薄ピンク色の乳首がぷっくりと屹立していた。 しゅるるっ 「……」 帯を抜き取られて久也はそっと瞬きした。 松本は壁際に追いやっていた布団を三つ折りにして盛り上がらせると、そこに久也をもたれさせた。 腰の下に座布団を差し入れる。 ああ、ほしい。 久也自ら両足を開くとその間に腰を据えて、脈打つ隆起を、ゆっくりと……。 「……はぁ……」 乱れそうになる呼吸を抑えて、松本は、久也にペニスを突き入れていく。 内壁を押し上げ、奥を目指す彼に、久也は切なげに仰け反った。 額に汗が滲む。 指とは比べ物にならない質量に腰が砕けそうになった。 すごい……。 こんなにも彼のものは逞しかっただろうか……? 「あっ」 途中までゆっくり進んでいた松本だが、自制は長続きせず、残りを一息に根元まで沈めてきた。 腰に腰がぶち当たって久也はビクリと痙攣する。 松本は弓なりに背中を反らすと、天井に向け、低い吐息を零した。 「あぁ……」 雄々しいため息だった。 少年みたいに笑っていたのが嘘のようだ。 身の内で存在を主張する彼のペニスがどくんどくん鼓動を刻んでいる。 「……」 霞む眼で見つめていたら松本は天井に向けていた視線を久也へ戻し、緩やかに、笑った。 ああ、また、心が奪われた。

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