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「脚……かくかくします」
「大丈夫? おぶっていこうか?」
「いえ……こうしてふらふらするのが智駿さんに激しくされた後だって思うと幸せな気分になれるので……このままで」
エッチが終わったあと、俺は智駿さんの腕にしがみついて、智駿さんにもたれかかるようにして帰路に就いていた。
夜も深くなってくるころだけれど、風は生温くて全然涼しくない。でも、そんな蒸し暑さとしきりに聞こえてくる虫の鳴き声は、いかにも夏の夜らしくて風流だと思う。
「あっ」
「どうしたの?」
「す、すっごい虫に刺されてる……かゆいです」
「えー? 僕は全然なのに……梓乃くんの血美味しいんだねぇ」
こうして、夏を感じながらの浴衣エッチは無事にできたけれど……やっぱり、外でするのはあんまりよくないな、なんて思う。智駿さんとのエッチの余韻が、痒みで台無しだ。
「次は虫除けしてしないとだねー」
「あれ臭いから! 外はやめましょう」
よろよろと歩きながら、笑いあう。すごく、幸せな時間だなあ、なんてしみじみと感じていた。
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