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 辺りには、誰もいない。草が生い茂っていて、まだ若そうな木がたくさん立っている。 「……智駿さん。外で、したことある?」 「初めてかな」 「……嫌じゃないですか?」 「梓乃くんからのお誘いを嫌だなんて思わないよ」  別に、智駿さんの家に帰って、そこで浴衣でエッチしてもよかった。でも、花火大会の最中にじわじわと膨れ上がった智駿さんへの想いが、どうしても止まらなかった。外でするのって、大人の智駿さんからしたら嫌だったりしないかなって思ったけれど、智駿さんは意外と乗り気らしい。俺の背を木の幹に押し付けると、そのまま唇を重ねてくる。 「ん……」 ――虫の鳴き声が聞こえる。エアコンの効いた部屋とは全く違う、湿度の高いむわっとした空気。こうしてじっとしていればじわじわと汗が体を伝ってきて、息苦しくなってくる。 「……ふ、色っぽいね、梓乃くん」 「え……」 「前髪が汗で張り付いている。目も、熱くてもうとろんとしちゃって」  智駿さんの両手が、俺の頬に添えられる。そしてまじまじと顔をみつめられたあと、また、キスをされた。俺は智駿さんの背中に手を回して、必死にそのキスに応える。 「はっ……は、ぁ……」  キスは激しくなっていって、呼吸が辛くなってきた。俺はぐっと舌を伸ばして、無我夢中で智駿さんと絡め合う。もう、口が蕩けてしまいそうだ。熱くて熱くて、頭もぼーっとしてきて、とろとろに蕩けてしまいそう。もはや自分が何をしているのかもわからないままに舌を動かして、智駿さんの唇を感じて、……そうしていると浴衣の襟を掴まれる。 「あっ……」 「浴衣なんて着てくるから……僕、ずっとドキドキしていたよ」 「んっ……!」  する、と肩をはだけさせられる。そして、智駿さんが首筋に唇を寄せてきた。つうっと首を伝う汗を、すうっと舐め取られる。そのまま智駿さんの舌は俺の首筋をつーっと這っていって、肩口に辿り着いた。 「あっ……は、ぅ……」  ちゅ、ちゅ、と智駿さんは丁寧に俺の汗を舐めていく。俺は智駿さんの頭を抱えて、体をくねらせるしかできなかった。この蒸し暑さがやたらと興奮を煽ってきて、ただ軽く体に口付けられているのに感じてしまうのだ。アソコがじーん、と熱くなってきて脚がガクガクと震えだしてきた。 「はぁっ……は、……あっ……」  一度はだけると、どんどん布はずり落ちていく。肩だけをはだけさせていた浴衣はいつの間にか肘のあたりまで落ちていて、すっかり上半身がさらけ出されてしまう。 「あっ……!」  そして智駿さんにさっそく現れた乳首を吸われて、俺は思わずビクンビクンッ、 と仰け反った。智駿さんは俺のぴんっ、と勃った乳首を口で根元から吸い上げて、舌で乳頭をくりくりと撫で上げる。もう片方の乳首は指でこりこり。ただでさえ俺、乳首弱いのに……こうして立ってしてるときに触られたら、崩れ落ちてしまいそうになる。俺の腰がゆらゆらと揺れ出して、そうすれば智駿さんは余計に強く責めてきて。 「んっ……くっ、あっ……だめっ……」 「んー? ほら、イッていいよ?」 「ふ、……あぁっ……ぁ……いっちゃう……」  俺は足を内股にモジモジとさせて、ガクガクしながらイッた。もう全身が汗だくで、熱い。はあはあと俺が息を乱していると、智駿さんがすっと体を起こす。 「あ……」  するりと脚に手をのばしてきた。そして、俺にパンツを脱ぐように促してくる。俺は大人しくパンツを下ろして、ぷるんと勃ったチンコをさらけ出した。智駿さんは浴衣のあわせを開くようにして、俺のチンコをみつめてくる。 「はは、可愛いね」 「あっ……やっ……」  足を掴まれて、俺は思わず抵抗した。智駿さんは俺の片脚を持ち上げ、そして大きく脚を開かせてきたのである。俺は片脚で立っていることしかできなくて、慌てて智駿さんの肩に手を添えた。 「もう、浴衣……すっかり乱れちゃったね」 「ちはやさ……」 「やらしくて……すっごく可愛い」 「あっ……! やぁっ……」  もう片方の手で、智駿さんは俺のお尻の穴に指を挿れてきた。片脚でしか立っていない俺は、必死に智駿さんにしがみついて体勢を維持する。  智駿さんの指は、前立腺をぐりぐりと遠慮なく刺激してきて。俺は腰を揺らしながらも、智駿さんの首元に顔をうずめるようにしてなんとか耐えた。汗なのかなんなのかわからない液体がだらだらと内ももをたれていって、いやらしい気分になってくる。俺はしきりに甲高い声をだして、智駿さんにされるがまま、感じていた。 「ちはっ……も、だめっ……」 「ん? 指じゃだめなの?」 「あっ、ちがっ……立って、いられな……」  感じすぎて、もう脚が限界だ……そう訴えれば智駿さんは楽しそうに笑った。ぬぽっと一気に指を引き抜いて、そして片手で自らのズボンのベルトを外していく。カチャカチャと音が鳴っているあいだ、俺のお尻の穴はヒクヒクといって待機していて、はやくはやくとせがんでいた。立っているのは辛いけれど、挿れて欲しいという気持ちは溢れそうなくらいにあるのだ。 「んー、体勢キツイかな」 「むり、むり……」 「身体持ち上げた方がいい?」 「へっ……」  智駿さんはじっと俺の下腹部を見つめたあと、俺の腰を引き寄せるようにして、ぐっと正面から挿入してきた。「んんっ……」って俺が喘げば智駿さんは耳元で「よしよし」と言ってくる。そして、「僕にしがみついて」と囁くと……挿れたまま、俺の身体を抱えあげた。 「ふぁっ……!」  ふわっ、と浮遊感がきたと思った次の瞬間には重力で思い切り智駿さんのものが俺の奥にはいりこんでくる。これは……いわゆる駅弁ってやつ。智駿さんが軽く身体を揺するだけで、ずぷっ、ずぷっ、と勢いよく奥を突き上げられる。 「あっ! んっ! あぁっ!」 「落ちないようにしっかりつかまるんだよ」 「あっ! あぅっ! 深いっ……! あっ ! ああっ!」  この体勢だと、俺は智駿さんにしがみつく以外の行為をゆるされない。思い切り奥を突かれてあんまりの快楽に逃げたくなっても、しっかりと智駿さんを掴んでいないと落ちてしまう。まるで自分からせがんでいるようにぎっちりと智駿さんを抱く腕に力を込めて、俺は何度も何度も奥を突かれまくった。 「ふっ、んんっ、んーっ!」 「可愛いね梓乃くん、ぎゅってしてくれて」 「あーっ……!」  ゆっさゆっさと身体を揺すられて、同時にずっぷんずっぷん智駿さんのものがはいってくる。俺は智駿さんの首を甘噛みしながら、迫り来る絶頂感に耐え続けた。  全身が、汗だく。智駿さんもこんな体力のいりそうなことをしているから、汗をかいている。いつもよりも智駿さんの匂いがして、さらに俺は感じてしまった。智駿さんの匂いは、俺にとっての何よりの媚薬になるんだと思う。すうっと匂いが鼻からはいってくると、それが下腹部にズクンとヒットして、なかがぶるぶると震えるのがわかる。この体勢は、とにかくその現象がいっぱい起こる。智駿さんにしがみついて匂いを吸って、ぶるぶるきゅんきゅんしている俺のなかに、智駿さんのものがズンッとはいってくる。感じないわけがない。俺は唸って唸って、限界を向かい入れ始めた。 「んんっ! んっ、うぅ……! んーっ……!」 「イキ始めたね、梓乃くん。もっと激しくしなきゃだ」 「んーっ!」  なかの締まりっぷりで俺の絶頂を感じ取った智駿さんは、さらに俺の揺さぶりを激しくしてきた。突き上げる、その表現がまさにぴったり、そんなふうに勢いよく俺の奥をめがけて腰を俺のお尻に叩きつける。智駿さんの首を噛んで声を耐えることもできなくなってきた俺は、しきりに「あぁっ! あーっ!」ってひっくりかえりそうな声で喘ぎまくった。 「いっ、いくっ……いっちゃ、……」 「んー、ほんとだ、すごい締め付け」 「あーっ……!」  深いの、きそう……そう俺も智駿さんも感じ取る。なかの痙攣が激しくなって、智駿さんのものを奥へ奥へとさらに誘い出す。 「あ……」  ふと顔をあげたときに、唇を重ねられた。それと同時に揺さぶりは止んで、ずぷぷ……と奥にそれがはいりこんでくる。  キスをしながら、奥の方に出された。どくん、どくん、と出される感覚のたびに腰が震える。  完全に智駿さんに身体を委ねて、こうして中出しされるのがすごく気持ちよかった。ものすごく、幸せな感じがする。俺はうっとりとしてしまって、しばらく、この体勢のままキスをねだり続けた。

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