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 お風呂からあがると、服を着てだらだらとテレビをみていた。智駿さん的には、今日はもうエッチするつもりはないんだと思う。明日が休みだし、今日はこのままエッチの後の気怠さに沈んでいって寝ちゃおう……そう考えている気がする。実際、お風呂でエッチして、こうしてほかほかの状態で二人でくっつきあってのんびりとしているのは気持ちいい。でも俺は、智駿さんを誘惑しきれなかった悔しさを解消できていない。  ちらり、部屋の隅に置いてある俺の荷物に視線をやる。かばんと、あともう一つ、紙袋。中にはアレが入っている――そう、ベビードールだ。 「智駿さん……智駿さんって、ふりふりの服好き?」 「あー、可愛いと思うよ。お菓子みたいで」 「あは、智駿さんらしい」  あの服で、今度こそ誘惑を成功させる。智駿さんの理性を壊すんだ。 「……じゃあ、俺が着たらどう思います?」  えっ、と小さな声が聞こえる。そして智駿さんがびっくりしたような顔をして見つめてきた。 「……梓乃くんが着るの?」 「そしてそのままエッチします?」 「……えっ! 予想外のお誘いに僕ちょっと動揺してる。ううん、ちょっとやってみたい」  ……さすがにいきなり女装プレイしましょうはなかったかもしれない。智駿さんの驚き方が素すぎてなんだか可愛い。でもやっぱり興味がないわけではないんだと思って嬉しくなる。せっかく準備してきたんだし、俺だって女装プレイしたい気分になっているのだ。  そっと、その紙袋をとってくる。智駿さんは興味深げに中を覗いてきていたけれど……中身を取り出すと、目をぱちくりさせてわかりやすく動揺していた。 「す、……すごいね」  智駿さんからみて、それを握っている俺の手が透けて見えるくらいにスケスケなベビードール。布もぺらぺらとしているからこうして手に持つと随分と小さく見える。そして、もうひとつ……布の面積がだいぶ少ないパンツ。こちらもスケスケで隠す気がない感じだ。  俺も、そんなにエッチな服でもないだろうと家で見たときは思っていなかった。でも、改めて智駿さんと一緒にみてみると……だいぶエッチだ。自分から言いだしたのに、これを着ることに躊躇いが生まれてしまうほど。 「……これ、着てくれるの?」 「智駿さん、みたい?」 「……正直」 「やっぱり?」 「やっぱりってなに?」 「智駿さんって結構スケベだし」 「わあ、失礼だなあ」  ベビードールを広げて身体に当ててみると、本当にぺらんぺらん。こんな薄い布で出来ている服、着ている途中でひっかけて破けたりしないのかなって思うくらい。智駿さんも同じく予想以上のペラさに、驚愕ともなんとも言えない笑みを浮かべている。 「うーん、意外と似合うかもねぇ」 「似合いはしないと思いますよ……」 「色が黒だからわりといけそう。ピンクとかライトブルーとかだとアウトかもしれないけど」 「その色はたしかにアウトですね……」  智駿さんがベビードールを手にとって俺と重ねて眺めている。俺もだけれど、こんなエロ下着は馴染みがないから、興奮よりも先に興味が湧いてしまう。こんなにスケスケなの、とか、これもはや下着でもないじゃん、とか。二人してしばらくベビードール鑑賞会をしていたけれど、しばらく観察をしたあとにようやく智駿さんがベビードールを俺に手渡してきて言う。 「とりあえず、梓乃くん着てみようか」  そして俺はそう言われて、う、と固まってしまった。いざこのぺらぺらを着るとなるとやっぱり抵抗がある。でも、似合ないからと事前に言ってあるしここは腹をくくろう。それに智駿さんを誘惑するためにがんばらないと。そう心の中でぶつぶつと唱えて、俺はまず今着ている服を脱ぎだした。  シャツを脱いでズボンを脱いで、それから智駿さんに背を向けて下着も。今でもエッチの前に自分から全裸になるのは少し恥ずかしい。智駿さんはそんな俺をみて面白そうに笑っている。 「じゃあ……着ますよ!」 「うんうん、お願いします」  さっさと服を脱いで、そしてようやくベビードールを着る段階に。着慣れないキャミソール型のそれを手にとって、俺はごくりと唾を呑む。 「んっ……?」  少しだけかぶって、俺はぴたりと固まった。なんだこれ、普段着ているタンクトップなんかと違って伸びないぞ、ってヒヤッとしたのだ。このまま着て行ったらレースが破けてしまいそうでなんだか怖い。俺はぎゅっと体を縮こめて、恐る恐る袖を通していく。 「うわっ……ひっ……」  袖を通すと、他の布地がひらひらっと落ちて無事着ることができた。でも、全然「着ている」って感じがしなくて俺はそわそわと身じろぎをしてしまう。すーすーするし、独特のサラサラとした生地が肌に擦れてくすぐったい。自分の身体を見下ろしてみれば……つんと勃った乳首がぽつんと存在を主張していて、おへそもしっかり透けていて、やたらといやらしかった。

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