184 / 329

7(1)

「あ、すごい夜景」  新見さんといくらか話をして、俺達は部屋に戻った。智駿さんはホテルにくる前と比べると、すっきりとした顔をしている。新見さんの活躍をきっと智駿さんは結構前から知っていてもやもやとしていただろうから、このホテルに来ることが出来て良かったと思う。新見さんと話せて、心のつっかえがとれたはず。 「梓乃くん」 「はい?」 「あのね、」 「わあっ」  窓から夜景を眺めていた俺に、智駿さんが背後から抱きついてきた。急に抱きしめられてドキッとして、俺は挙動不審になってしまう。 「梓乃くんが言ってくれたことも、新見との話も台無しにしちゃうようなことなんだけど、」 「……?」 「……ブランシュネージュをやっていたから梓乃くんに会えたって思うと、僕はあの店を開いてよかったって思える」 「へっ……!」  智駿さんの言葉に、かあっと顔が熱くなった。  ほんとだよ、それ、俺が言ったこととも新見さんと話したこととも関係ないじゃん!ってつっこみたかったけれど、どうしても嬉しい。 「僕のことを応援してくれる、素敵な恋人。ほんと、梓乃くんに逢えたのって運命なのかな」 「ちょっ……あ、あの……智駿さん!? は、恥ずかしいことばっかり……どうしたんですか!」 「……ほんとうに嬉しかったの。さっき、梓乃くんが言ってくれた言葉が。僕のケーキをもらったら嬉しいって、僕のケーキが人を笑顔にするって、……本当に僕が最初の最初にもっていた夢を思い出させてくれるそんな言葉が」  そ、そんなに俺はすごいことを言っただろうか。ぎゅーっと抱きしめながらそんなことを言われて、俺はどうしたらいいのかわからなくなってくる。 「梓乃くん」 「……、はい」 「好き。大好きだよ、梓乃くん。すごく好き。愛してる」 「ちっ……智駿さっ……んっ……」  顎をくいっと掴まれて、唇を奪われた。  どき、どき。すごく心臓が高鳴っている。好き、って言葉はいつも言われているのに、なぜか今日はやたらとドキドキする。ちょっとした壁を乗り越えて、もっと大人になった智駿さんがかっこいいって思ったからかもしれない。ああした小さな弱さすらも俺にとっては愛おしくて、今日の件で俺はますます智駿さんを好きになっていた。だから、だろうか。胸が痛いくらいにどきどきして、おかしくなってしまいそうになるのは。 「愛してるよ、梓乃くん。君に出逢えてよかった」 「ち、はやさん……まってっ……」  でも、こんなに愛を囁かれると参ってしまう。どきどきしすぎて頭が真っ白になって、自分が自分でなくなりそうだから。智駿さんが俺の首筋を吸いながら身体を撫でてきて、腰が抜けそうになる。甘い甘い愛の言葉に蕩けてしまって、身体からくたりと力が抜けて行く。 「あっ……」  かくん、と脚が崩れそうになって、俺は窓に手をついた。息を飲むくらいの綺麗な夜景が視界に飛び込んできて、くらくらする。そんな美しい夜景にのまれている間も、智駿さんは俺の首筋にキスを落としてきた。 「梓乃くん……そのまま」 「んぁっ……そんな……」  服の中に智駿さんが手を入れてくる。このまま……するんだ、ってどきどきしてくる。こんなところでしたら、外から見えちゃうっ……!なんて、ちょっと抵抗しながらも俺も乗り気にはなっているんだけれど。 「梓乃くん……好き」 「あんっ……」  乳首を摘まれて身体がビクンッと跳ねる。身体が熱くなってきて……もう、俺も完全にその気になり始めていた。 「あっ……んっ……んぅっ……」  乳首をこりこりされて、脚ががくがくし始める。どんどん上半身が落ちていって、窓をずるずると滑っていって、智駿さんに腰を突き出すような体勢になってしまった。智駿さんはそんな俺に覆いかぶさるようにして、なおも乳首を責め続けてきて、そして耳を舐めてくる。 「梓乃くん……好き、ほんと、好き。可愛い、梓乃くん」 「あっ、やぁ……智駿さん、だめぇ……んんっ……」  シャツをたくし上げられていって、肌が露出する。これじゃあ外からみたときにエッチしてるって丸分かりだって恥ずかしくなった。でも、そのわるいことをしている感じに興奮してしまう。「だめ」って否定することにゾクゾクする。

ともだちにシェアしよう!