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「初エッチは何歳のときですか?」 「……えっ……じゅ、17……」 「そのときの感想は?」 「えーっと……む、難しいなー……みたいな?」 「じゃあ、最後にエッチしたのは?」 「え? おととい……ってAVのはじめのインタビューかよ!」  由弦も彰人も、次は授業がないみたいだから、俺たちは大学の近くにあるという由弦の家に来ていた。そこで始まったのが、俺への質問責め。「俺のエッチな部分を知りたい」なんて言って、二人して根掘り葉掘り聞いてくるのだ。まるでAVの本編前のよくわからないインタビューシーンのようなそれに、俺は辟易としてしまう。 「なんだよー梓乃ちゃん、ちゃんと答えてくださーい」 「うるさいセクハラだからこれ!」 「はい、質問です。おとといのエッチの内容は?」 「え? おとといはえっと……騎乗……ってだから、やめて!」 「騎乗位かよエロッ」  由弦はド真面目な顔で聞いてくるし、彰人はもはや楽しんでいる。いったいなんの羞恥プレイなんだろう。うっかり答えてしまう俺も俺だけど。 「はあ、梓乃くんは騎乗位が好きなんですか。どのへんが?」 「ど、どのへんって……えーっと、自ら腰振っちゃう感じがいいっていうか……っていやいやだから!」 「なるほど……積極的にされるのが好きなんだね!」 「やっぱりお互い楽しいほうが気持ちいい……あー!もう!」 「梓乃くんは彼女に貞淑さよりも積極性を求めるタイプなんだ! 意外だなあ」  ……そうだ、由弦は俺が「彼女」とのエッチを語っていると思っているんだ。そのほうが面倒くさいことにならないからいいけれど、それだと若干実際の俺とイメージが異なってくる。別に俺は女の子が相手だったらそこまでエッチしたいとも思わないし、どちらかといえば女の子には恥ずかしがって欲しい。俺は女の子にエロさを求めるタイプじゃない。  彰人も由弦が間違ったイメージを抱いているのになんともいえない顔をしていた。ちらりと俺を見る、そしてまた由弦を見る。そして、はあとため息をついて言った。 「由弦くん。梓乃ちゃんはね、男の人を相手にエッチしてるんだよ。挿れられる側で」  ……あれ。彰人くん、今、とんでもないことを。 「えっ……えええ!? 梓乃くんって、そっちの人!?」 「ちっ、ちがっ……別に俺は男を好きなわけじゃないから! たまたま付き合ってる人が男なだけで、ゲイじゃない! 怖がらないで!」 「えっ、じゃあ騎乗位って……梓乃くんが男の人に乗っかって腰振ってるってこと!?」 「……う、……は、はい……」  やってくれやがった彰人。由弦に、俺が男の人と付き合っていて、しかも非処女ってこともバレてしまった。っていうかお尻に挿れられるのが大好きみたいに伝わってしまっていると思う。  でも、智駿さんと付き合っていることは否定したくないし、「違う」とも言えず。俺は、頷くことしかできなかった。 「……梓乃くん」 「あ、あの……」 「エッチのときは、声を出す派ですか?」 「だ……出します……」 「一番好きな体位は?」 「……対面座位……」 「それは何故?」 「お、……奥に、入ってくるし……密着できるし……」  てっきり、引かれるか距離をとられる、そう思った。けれど、由弦の態度は変わらない。むしろ、質問が積極的になってきて、びっくりしてしまう。 「梓乃くんってそういう感じだったんだね……! 意外だけどなんだかしっくりくる! いやあ最近色気凄まじいなあとは思っていたけれど、なるほどそういうわけか、イメージ固まってきたかも」 「色気? え? 一体どんなイメージで固めているの? ちょっと!?」  由弦はなにやら納得したように頷いている。でも俺には何を納得されているのかわからない。ただわかるのは、由弦のなかでの俺が、エッチ大好きな人になっているということ。  なんだか癪だったけれど、ここで変に口を挟んでせっかく固まったらしい由弦のイメージを壊してもいけない。彰人もけらけらと笑ってしたり顔。これはこの流れでいけばスムーズに事が進む、そう判断した俺は、反論しなかった。  エッチ大好きなのは、事実だし。

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