213 / 329

9(4)

 俺が仰け反って悶えれば、智駿さんが乳首をぎゅっと掴んでくる。もう、どうしたらいいのかわからないくらいに気持ちよくて、それでもどことなくもどかしくて、俺はもう片方の乳首を自分でコリコリして、腰を縦に振った。 「あんっ! あんっ!」 「すっごくやらしい。こんなにやらしい梓乃くんを描けるのは、やっぱり僕だけだね」 「ぁあんっ……ちはやさんっ……!」 「もっといやらしくなってごらん」  命令されて、もっと乱れないと、そう身体が言う。俺は自分の股間に手を伸ばして、人差し指と中指でお尻の穴をくぱっと広げて、ハケになかの方を刺激してもらうようにねだった。いっぱい腰を振って、乳首オナニーをして、そしてお尻の穴を広げて。ベッドをぎしぎしと軋ませながら、俺は智駿さんの前で乱れてみせる。 「あぁっ……あー……!」  大きくのけぞって、あっというまに昇りつめて……俺は、がくがくと震えながら、イッた。どさっと腰を落として、ぐったりと横たわっていれば、智駿さんが俺の顔を覗き込んで、微笑む。ハケでつん、つん、と乳首つつかれて、俺の身体はぴくんぴくんと震えた。 「いやらしくて、可愛かったよ、梓乃くん」 「ほんと……?」 「ずっとおあずけしていたから、たまってた?」 「はい……ちはやさん……」 「ふふ、挿れてほしい?」  智駿さんが、ズボンのベルトをはずしている。数日の間、智駿さんに挿れてもらえなかった俺は、もう期待でいっぱいだった。乳首とお尻のいりぐちだけでイかされて、奥のほうがきゅんきゅんと疼いている。やっぱり……智駿さんのもので奥を突いてもらわないと、俺は満足できない。  智駿さんのものが、俺のお尻の穴に、あてがわれる。息があがってきて、興奮してしまって、くらくらする。智駿さんは俺の身体の脇に手をついて、じっと薄く微笑みを浮かべながら見下ろしてきていて……かっこよすぎて、おかしくなりそう。心臓がばくばくといっていて、それでも智駿さんから目を離せない。 「ふ、あ……」  熱いものが、いりぐちにあてがわれる。長い間お預けをされていた俺の身体は、それだけでビクビクと震えてしまった。智駿さんはそんな俺をみて目を細めてくるけれど、俺は早く挿れて欲しくてたまらない。おねだりするように腰を押し出して、自分のお尻の穴を智駿さんのものに押し付ければ、智駿さんはふふっと笑って、ぐ、とそれを押し込んできた。 「あ……あ……」  びり、となかが震える。智駿さんがじっとりと俺の瞳を覗き込みながら、ゆっくり、ゆっくりとなかに推し進めてくる。じわ、じわ、となかから液体が分泌されるような錯覚を覚えるくらいに、熱が染み出てくる。俺は息を詰まらせるように、はくはくと息をして……最奥にそれがくるのを、待っていた。  そして、それが……奥まで、やってくる。あと少し、あと少しで一番奥までくる、そのときに――智駿さんは、一気に最奥を突いてきた。ズンッ!と強く突かれて、俺は失神しそうになりながら、イッてしまう。 「あっ――」 「どう?」 「ま、って……これ、……や、ば……」 「なかに欲しそうにしてたの、梓乃くんでしょ。待たないよ?」 「だ、……だめっ……だめ、だめ……!」  すさまじい、快楽だった。腰が、蕩けてしまいそうなほど。感覚が、なくなってしまいそうなほど。今ピストンなんてされたら、俺の下半身が壊れてしまいそうで、怖くなった。でも――智駿さんが、止めてくれるわけがない。智駿さんは、俺の腰をがっしりと掴むと、ガンガンと奥を突き始めた。 「あっ……あっ……」  気持ちいい……気持ちいい、気持ちいい。もっと、もっとめちゃくちゃにして欲しい。  もう、自分がどうなっているのか、わからなかった。どんっ、どんっ、と強い衝撃が下半身に走って、それと同時に重い快楽が押し寄せる。俺は悲鳴のような声をあげながら、もっと、もっと、って腰を自ら振っていた。 「はぁっ、ちはやさっ、あっ、あっ、もっ、とぉ……」 「もっと、ね」 「あぁんっ、はげしっ、あーっ……!」  体位を変えて、何度も何度も突かれた。俺は潮吹きしながら、ぐちゃぐちゃになりながら、久々に挿入された悦びに悶えていた。 「梓乃くん、出すよ、」 「あっ、いっぱい、ちょうだい……ちはやさん……!」 「ふふ、僕だけの、梓乃くん」  なかに出される瞬間、俺は、智駿さんにぎゅっと抱き着いた。俺は、智駿さんのもの。そう頭に浮かべながら中出しされると、ふわふわと気持ちよくなって、幸せな気分になる。  キスをして、奥に最後の一滴までだされて。俺、智駿さんじゃなきゃ、だめだって。そう思った。

ともだちにシェアしよう!