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「智駿さん」
「ん?」
梓乃くんは、すごく、可愛い。
見た目は、まあ、もちろんだけど。同性愛者というわけでもなかった僕が一目惚れするくらいだから、すごく可愛らしくて綺麗な顔をしている。雰囲気がおっとりとしているせいか、ずば抜けて垢抜けているわけではないけれど、どんなに見つめても飽きないし、むしろ好きなところを新たに発見してしまうような顔だち。ちなみに僕が一番好きなのは、笑うときゅっと上がる口角。非常に可愛らしい。
そして、これもまたもちろんだけど、中身も、可愛い。ふわふわとしていて、つかみどころのなさそうな、少し天然の入った性格。でも決して自分を持っていないわけではないし、足元は僕のそばにしっかりと付いている。ふわふわとした性格は表情にもでていて、梓乃くんのどの表情からも甘いお菓子の香りがするような、そんな空気が発せられている。笑うと小花がふわっと宙に舞うのもまた、可愛い。
それから、声。梓乃くんが僕の名前を呼ぶ声は、一際甘い。梓乃くんは僕の名前を呼ぶ瞬間、瞳をとろんと蕩けさせて、頬をわずか紅潮させて、そして僕にすり寄ってくる。思わず抱き寄せたくなるような、そんな声。それはもう、とても、可愛い。
「ふふ、どうしたの」
「いえ……」
「甘えたい気分?」
「……はい」
でも、一際可愛いのは、僕に触られている時の、梓乃くん。ふわふわゆるゆるとした雰囲気はそのままに、一気にいやらしくなる。これは、梓乃くんにしか出せない雰囲気じゃないだろうか。僕の膝に乗っかってきてキスをしてきたから、僕が後頭部に手のひらを添えて、腰を抱くと、梓乃くんの身体がぴくんっ、と震える。そして、こす、こす、と下腹部を僕のお腹に擦り付けてくるのだ。なかなかの、淫乱な子。でも、可愛いってまず思ってしまう。こんなにエッチなことをしてきても、梓乃くんがやると、とにかく可愛い。
「まったく、梓乃くん」
「あっ……」
押し倒せば、梓乃くんは口元に手の甲をあてながら、うっとりと顔を蕩けさせた。こんな顔……僕しかしらないんだと思うと、興奮する。可愛くてふわふわしている美青年の梓乃くんが、こんなにとろとろな顔をするなんて……誰が知っているだろう。
「梓乃くん、続けて」
「ん……」
僕が促せば、再び梓乃くんは腰を振って股間を擦り付けてくる。梓乃くんは、僕のいやらしい命令になんでも従ってくれる。たぶん元々Mの素質があったんだろうけれど、僕とのセックスのなかでそれが育ったのだと考えるとなかなかにたまらない。変態臭い言葉を使えば、梓乃くんは僕の手によって調教済みになっている。可愛い梓乃くんをこんな風にできたなんて、征服感がここまで煽られること、あるだろうか。
「智駿さんっ……」
「ん?」
「えっち、したいです……」
「いいよ。でも、どうしたの、梓乃くん。いつもより積極的?」
「わ、からないです……昼間、ブランシュネージュにいた智駿さんみたら、なんか、すごくドキドキしちゃって……」
「ふふ、ポイントがわかんないや」
「俺もわかんないよ、智駿さん……もう智駿さんの全部にドキドキして、抱かれたくなっちゃいます……」
梓乃くんは、可愛い。僕のことを本当に好きでいてくれるところが、最高に可愛い。愛おしくて、たまらない。
服を脱がせると、期待いっぱいの目で僕の手元をみてくるのも、可愛い。自分で脱ぐよりも僕に脱がされるほうが好きみたいだから、こうしてゆっくりと脱がしてあげると、梓乃くんは本当に嬉しそうにする。
「わ、智駿さん……」
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