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答えに気付き始めた、そんな俺が迎えた朝は爽やかだった。もやもやと晴れなかった心に、青空が見えている。
もう少し。俺が、智駿さんともう一度会うのに、もう少し。重みのある一歩を踏み出して、俺はいつものように学校へ向かう。
「あれっ」
駅へ向かう、その途中。俺は道端で、見覚えのあるシルエットを見つけた。ゆるっとした雰囲気を身に纏う――そう、奴だ。
「おはおは。梓乃ちゃん!」
「……えっ、セラ!? なんで!?」
「うーん? 梓乃ちゃんに会いたくて! へへっ」
現れたのは、セラ。いつも突然出現するが、まさか今日も現れるとは思っていなかった。いえーい! とピースをしてくる、彼。だらーんとした雰囲気をしているが……もしかしたら、俺のことを心配してここで待っていてくれたのかもしれない。あまりにも現れるタイミングが丁度良すぎするのが少し危ないけれど、それはご愛嬌ということで。
セラはいつものように俺にすすっと近づいて来ると、歩きづらいくらいにぴたりとくっついてくる。セラ特有の距離感というか。いつもはこれを
ちょっと鬱陶しく思ったりもするけれど、今日はそう感じない。セラから、なんとなく――優しさのようなものを感じたからだ。
「今日は、智駿さんに会わないの?」
「……まだ、俺がちゃんとしていないから……」
「ふうん。梓乃くんがそうしたいなら、俺は何も言わないけれど」
とん、とセラが一歩、踏み出す。
どこか、声色が大人っぽい。
「昨日よりも、目が澄んでいるね。でも、まだひっかかるところがあるのかな」
「……いや、……何がもやもやしてるのか、……わからないんだ。なんとなく、家族と話しているうちに俺が自分の将来に求めることはわかったんだけど……でもまだ、何かが、……足りない気がして」
「だから、智駿さんに会えない?」
「……うん」
「――じゃあ、一生会わなくていいんじゃない」
「えっ」
少し、重みのある言葉がセラの口から飛び出して、俺の胸に突き刺さる。まさか、セラからそんな鋭いものが放たれるだなんて思っていなかったから、思わず俺は固まってしまった。
けれど、セラの瞳は――優しい。
「……これから、授業?」
「えっ……いや、……別に、絶対いかなくちゃって授業でもないよ」
「そう」
高くなり始めた朝日が、セラに逆光を被せてくる。初めて気付いたけれど、セラは結構背が高い。俺よりも……もしかしたら。
セラという人物がわからなくなり始めて、それと同時に彼の言いたいことを知りたくて。俺は、その先の言葉を期待して……そして、セラはそんな俺の期待に応えてくれた。
「おいで。いつも、俺が君の家におじゃましているから、今日は俺の家に来なよ」
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