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しばらく、舌で口の中を愛撫された。寂しくて物足りなさを感じているところを、たっぷりと優しく舐めてくれて、心がとろとろに満たされる。けれど、もっと、ずっとずっとそうしていたかったのに、唇が離れていってしまう。ゆる、と彼の温かい舌が口から出ていく切なさに、つい「やだ……」と声に出てしまった。
「あ、……」
「ん?」
俺の首にちゅ、と吸い付いた白柳さんが、不思議そうな顔をして体を起こす。いつも、そこまでキスをたくさんするわけじゃないので、まさか俺がもっとキスをして欲しいと感じているなんて思ってもいないのだろう。白柳さんは俺の顔を覗き込んで、「どうした」と俺の頭を撫でながら尋ねてくる。
「あ、……あー……いや、なんでも……ないです……」
「?」
もっとキスして、と。言おうと思ったが、言葉が喉元でつっかえて出てこなかった。言おうと思っても、顔がかあーっと熱くなって言えなくなってしまうのである。
「……、あのっ……いや、……え、へへ……気にせず……その、すすめてください……」
「……」
――は、恥ずかしい!
俺は、甘い雰囲気が苦手だ。とにかく苦手だ。ウリをしていた年数が長すぎるのと、白柳さんとしばらく距離をとっていたせいで甘え方を忘れてしまっているのが、たぶん原因。セックスをするときに、素直な気持ちを伝えることが、今の俺には到底できそうになかったのだ。
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