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 白柳さんはじっと俺を見つめてくる。俺の顔なんて見てないで早く次に進んでくれと言いたいところだが、その言葉すらも恥ずかしくなってくる。おかしい。こんなの俺じゃない、というよりこの年になってこんなにも恥ずかしがってしまうことが、そもそも恥ずかしい。 「……」 「んっ……?」  俺が黙り込んでいると、白柳さんが俺の唇をふにふにと親指で触ってきた。切なかった場所を触られて、あまりの気持ちよさにうっとりとしてしまう。まぶたがとろんと落ちてきて、ひく、と腰が揺れた。   「あっ……、は、……」  口の中に、指が入り込んでくる。軽く舌をくちゅくちゅと弄られると、我慢できなくなってそのまま指に吸い付いた。キスをして欲しくてたまらない、そんなさみしがり屋な舌を彼の指に絡めて、寂しさを満たす。   「可愛いなあ、セラ」 「ん……、ん、……」 「口寂しい?」 「あ……」  ぬぽん、と指が引き抜かれて、また寂しくなる。口のなかを満たしていたものがなくなってしまう、その感覚がたまらなく切なくて、思わず俺は白柳さんの手を掴んだ。しかし、白柳さんが再び俺の口に指を挿れてくれることはなかった。  ぐっと顔を近づけてきて、もう一度「寂しいのか」と聞いてくる。答えるのが恥ずかしくて、俺は何も言えなかった。少し顔を浮かせればキスできそうだったので、顔を動かそうとしたが……くい、と顔を掴まれてそれは阻まれる。 「ちゃんと言えば、いっぱいやってやるんだからさ。言いなよ、素直に」 「……っ、え、……や、やだ……恥ずかしいです……」 「俺には恥ずかしいところ見せたくないわけ?」 「……そういう言い方、狡くないですか……」  頭を撫でられる。俺ならおまえの恥ずかしいところも見てやるよ、なんて傲慢な顔をして白柳さんが俺を見つめてくる。腹立つ。この人の、こういうところ。   「あの……」  顔が熱くなってきて、それを見られるのがいやで手で顔を隠した。それでも白柳さんは解放してくれそうになく、俺の上から退いてくれない。  俺も……はやく、続きをして欲しい。もっと、寂しいところを触って欲しい。胸のあたりがむずむずとしてきて、焦れてくる。 「……キス……もっとして欲しい、……です」

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