321 / 329

15(3)

 白柳さんはローションを手のひらでねちねちとこねて、温めてから俺のお尻を触った。おかげで冷たくない。ぬる……とした感触がお尻に広がって、穴がヒクヒクとする。 「ん……」  白柳さんの指が、お尻の割れ目をなぞった。ぬり、ぬり、と穴を擦るように往復されて、腰がヒクヒク動いてしまう。 「じ、焦らさないで……」 「焦らしたほうが気持ちいいだろ?」 「余裕ないって言ったくせにっ……焦らす余裕はあるのかっ」 「ん~、いや、焦らされているおまえが可愛くてさ」 「なっ」  白柳さんに優しくいじわるされると感じてしまうのは事実なわけで。焦らされて、焦らされて、腰を揺らしながらおねだりしていると、どんどん身体が熱くなってくる。そんなことあるわけないのに、なかが愛液でジワッと濡れてくるような、そんな錯覚に陥ってしまう。  くちゅ、くちゅ……とローションが音を立てて、頭の中を蕩けさせる。はやく、はやく、白柳の指でなかをかき回してほしいのに……白柳さんはいじわるをして、いれてくれない。 「白柳さん、いれて……はやく、いれて……」 「ん~?  ふふ、」 「白柳さん……」    くい、と顎を掴まれて、真っ正面から見つめられた。焦らされて、気持ちよくて、ぐずぐずになった顔を見られるのが恥ずかしい。白柳さんは嬉しそうな、たまらないような、そんな表情を浮かべながら、かぷ、と俺にキスをしてきた。 「んっ――ふ、ぅっ……」  その瞬間、つぷ……と指がなかに入ってきた。根元までずぷっと入れられ、奥のほうを指先でくりくりとされる。 「んんっ、んっ、んんー……」  ああ、きもちいい……  びくんっ、とお腹の中が収縮した。それから、びくんびくんと小さく震え出す。あ、イッてる、イッてる……俺、イッてる……そんなことを自覚しながら、目を閉じて……俺は、白柳さんに完全に実を委ねる。   「あっ……」 「すげえなあ……おまえのなか、柔らかいのにすんげえ締め付けてきて」 「あっ、そこ、……そこ、イク、イク……」 「んー、セラはこっちに夢中だな。ほら、いっぱいイけよ、セラ」 「あっ、あぁあーっ……だめっ、あぁー……!」  ぷちゅぷちゅと指でなかをかき回されて、なかが蕩けてしまった。こんなにとろとろに気持ちよくなったのが初めてで、わけがわからなくなってしまう。ぎゅっと白柳さんにしがみついて、自分のものとは思えないような声をあげて、俺はひたすらにイかされ続けた。 「あぁん、あぁっ、あぁあっ、」 「はあ、すげ、前、全然いじってないのに、おまえのびしょびしょ」 「しらやなぎさんっ、いっちゃう、いっちゃう、いっちゃうっ」 「んん、もう何度もイッてるだろ、セラ、ほら、ここ触るとイクんだもんな?」 「あぁっ、いっ――イクッ……、あっ……」 「ふふっ、大丈夫かあ、おまえ」 「はぁっ、あっ、しらやなぎさん、……ぅう、しらやなぎさん……おれ、おれぇ……」  もう何の液なのかわからないくらいに、俺の下半身はぐっしょり濡れていた。前戯でここまで感じたのは初めてで、俺も自分自身が何を言っているのかがわからない。泣きながら白柳さんにすがりついて、ただ、頭の中に、胸の中に、ぼうっと浮かんできた言葉を唇で紡ぐ。 「すき、しらやなぎさん、すき……ねえ、しらやなぎさん……ずっと、ずっと……すき、だったんです、……」 「……、」 「あ、っ……、う、……」  ぐ、と身体が締め付けられるような圧迫感を感じた。いつの間にか、なかから指は引き抜かれていて、両腕でぎゅうっと抱きしめられていた。 「は、……は、……」    ゆだるような熱が少しずつ全身に馴染んでいって、とくんとくんと鼓動するように静かな絶頂が身体の中にうずまいている。ただ抱きしめられているだけなのに、たまらなく幸せで、息をするのが苦しくなるくらい胸が痛くて、こんな不思議な心地よさは初めてだ。   「俺もなあ、結構長いことおまえのこと好きだったんだぜ」 「……ふ、……ぇ?」 「おまえがめんどくせえヤツだから、ほっといてやったけどよ」 「おれ、べつにめんどくさくないよ……」 「ウソつけや、おまえほどめんどくせえやつ初めてみたわ」 「ええ~……」  ああ、この軽口。この人は甘い言葉を言えない男なんだろう。そんなところがカワイイと思うけれど。

ともだちにシェアしよう!