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白柳さんの顔が見たくなって、そっと顔を上げる。少し、身体が熱くてくらくらする感じは落ち着いた。胸はどきどきしっぱなしだけれど。
目が合って、息をするようにキスをする。すぐ放して、重ねて、放して、また見つめ合う。
「……めんどくさい俺のこと、ずっと好きでいてくれたんだ」
「……チッ、そうだよ、悪いかよ」
「……ううん」
うれしい――そう唇から零れて、自然と頬がゆるむ。白柳さんはハッと息を吐いて苦笑して、またキスをしてきた。今度は長いキス。
白柳さん、俺はね。愛ってものがよくわからないんですよ。俺の知っている「愛」って呼ばれる行為は、ぐちゃぐちゃで、痛くて、辛くて、苦しいもので、だから「愛」ってそういうものだと思っていたんですよ。
あなたが俺の人生の中に現われて、いきなり「愛」の定義を変えられたから困っているんです。いきなり幸せを教えられて困っているんです。俺の今までの人生はなんだったんだろう――そんな風に思っちゃって、少し怖くなる。俺にとって、優しいものに触れるのは怖いことなんですよ。
幸せになるのが怖いなんて気持ちは、あなたは知らないでしょうけれど。そんな俺が、あなたの手を取るまでにどれほど葛藤したのか、あなたは知らないでしょうけれど。
「なあ、セラ……あんまり泣くなよ」
「……白柳さん、」
今、俺はあなたの隣にいる未来が見えているんです。未来が見えたのなんて、初めてです。
「――大好き」
は、と照れたように、困ったように、かみしめるように、白柳さんが笑う。こつ、と額を合わせて、ついばむようにキスを続けた。白柳さんとこうして甘いやりとりを繰り返すのは、気恥ずかしいようで慣れないけれど、それでも嬉しくてたまらなくて、ついつい夢中になってしまう。
ゆるゆると、とろとろと、心の中が蕩けていくような気持ち。こんなにも穏やかで甘ったるいセックスは初めてだ。それでも……じゅわじゅわと広がってゆく快楽はあるわけで。白柳さんがキスをしながら腰をすり合わせてくるので、下腹部がぐずぐずに熱くなっている。
「ん、……」
「……、なあ、そろそろ、」
「……はい、……どうぞ、」
「どうぞって」
「ほかにどう言えばいいんですか……?」
「もっとカワイイ言い方ねえのかなって」
「えー……、」
ずり、ずり。白柳さんが堅くなったものを俺の腹に押しつけてくる。白柳さんだっていれたくてたまらないくせに、優位に立ったような口調で煽ってきて、なんだかムカツク。でも、そんなところも好きなので、心の中がむずむずする。
白柳さんの腰に手を添えて、じ、と白柳さんを見上げて。どう言おうかなってちょっと考えて、いくらでもイヤらしい誘い方はできるけれど、なんとなく「違うな」って感じたので、
「待てない」
と素直に伝える。
白柳さんはむうっと納得いかないような顔をして「俺はだいぶ待ったんだぜ」と言ってはいるが、その熱っぽい目を見るに満足はしてくれたらしい。
「ねえ、カワイイ?」
「……すっげえカワイイよ」
「……、ん、じゃあ……」
「わかってるって、俺だって余裕ねえんだよ」
カワイイってストレートに言われるとびっくりして恥ずかしくなった。俺が口ごもっていると、白柳さんが俺の太ももを掴んでぐいっと脚を開く。まだ日が昇っていて、部屋も十分に明るい。恥ずかしいところが丸見えになってしまって顔がかあっと熱くなる。
「あ、あの、……白柳さん……」
白柳さんは俺の脚を掴んだまま、じっと俺を見下ろしていた。ソコは丸見えだし、たぶん真っ赤になっているであろう顔も見つめられるしで、とにかく恥ずかしい。ついつい手で口元を隠してしまう。
「は、はやく……どうしたんですか、白柳さん……」
「いや……こうして照れてるおまえはレアだなあって……」
「う、うるさいっ……! 早くしてくださいよっ……! 照れるのは当然でしょ、恋人とのセックスは初めてなんだってばっ……」
なぜ、白柳さんはいちいち俺の反応を見るために止まるのか。そっちだってバキバキに勃っているくせに!
恨みがましく白柳さんを見つめると、白柳さんがフフッとおかしそうに笑う。
「悪いって、早くヤりてえ気持ちはあるんだけどよ、ついつい目がいっちまうんだって、おまえに」
「……、うう、……ばかじゃないですか……」
「はいはいバカですよ、ほら……ゆるしてくれよ、」
「あっ……」
ぴた、と先端があてられる。ぎゅっ、ぎゅっ! とソコが収縮して、まだいれられてもいないのに「あっ……」と声が漏れてしまった。
また、白柳さんは俺の顔を見て、なんだか色んな感情が零れ落ちるような表情を浮かべて、はあっと息を吐いて動きを止める。「白柳さん……」と俺が懇願するように囁けば、ようやくその腰を動かしてきた。
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