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第4話
それから、同窓会まで殆ど連絡もせず、会うこともなかった。
別に俺は気にしてなかった。
『アレ』は、酔った二人のただのじゃれあいだったのだから。
「侑隼、カイ、寝たよ」
カレーライスを食べ終えて、テレビをつけてぼんやりとビールを飲んでいたら、寝かしつけ終わった英が戻ってきた。
「ああ、サンキュー。飯もありがとな。うまかったよ」
「それは良かった。じゃあ、皿貸して?」
「いいって、片付けくらいするし。お前も飲もうぜ?」
「やった」
冷えた缶ビールを冷蔵庫から取りだし、英が俺の近くに座った。
「おつかれ」
コツンと俺の缶にぶつけてから、プシュッと心地よい音を立てて英が蓋を開けた。そのうまそうな音に、もう1缶飲もうかなと思う。
付けっぱなしのテレビに映るバラエティ番組を見ながら、他愛ない話をした。けれど、俺は他のことに気を取られていた。
ーー今日は酔わずに言う。
そう、決めていた。
上の空な俺に英が首を傾げて、「侑隼?」と心配そうに覗き込んできた。それを合図に、俺は英の目を見て、口を開いた。
「あのさ、英。お前に話したいことあるんだ」
「ん?なに?」
「…実はさ、少し前に会社の子に告白されてさ…、返事に迷ってんだ。かいとのこともあるし、付き合うなら正直結婚のこと考えたいし…」
「…」
「かいとのためにも、母親はいた方がやっぱいいよな?」
(ーーああ、また)
英の口角がひきつる。
あの顔だ。
なんでお前は、そんな顔するんだ。
なんで何かをーー涙を耐えるような顔をするんだよ。
そして、
なんで俺は、お前のその顔を見るとホッとするんだろう。あの時と同じように。
なぁ、はな。
教えてよ。
end
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