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第48話

ひととおり通信を終えると、シェンはコロニーへの入口を探す。仮にも囚人を収容する施設である。 中への突破口は無に等しい。 迷ってる時間はないって考えた方がいいな。 生体反応はまだあるが、無事である保証はない。 援軍を呼ぶには呼んだが、上には秘密裏にしてあるため、個人的に仲の良い奴らだけである。 非番だとか文句ばかり言われたが、まあ、埋め合わせは約束したし、来てはくれるだろう。 裏でやっていることを知らない警備隊たちが相手である。同じ仲間だし、傷つけたくはないからな。 強行突破はなるだけ避けたい。 【身元不明機、乗組員確認せよ】 無線通信が入り、型通りの身元確認が入る。 「こちら要人警護中、エネルギーチャージにコロニーに寄港したい。FIF83962 シェン·リァウォーカー」 IDをリーダーに載せて通信先へとデータ転送をすると、着陸用通行路のシャッター装置が開く。 要人警護と言ったが、遠野でも無理に乗せてくればよかったかと改めて思う。 想定していて良かった確認である。 【第73部隊、リァウォーカー警視。寄港許可します】 コロニーへと着陸すると、エネルギータンクへと機体を寄せる。 基本的には非接触でのチャージは可能であるが、タンクに近い方が時間短縮できる。 シェンは機体を降りると、警備員に敬礼をしてから、収容所の様子を探る。 難攻不落ってイメージだな。脱獄犯を出さないような厳重な警備だ。 警備隊のメンツの顔つきも、かなり精鋭を集めているように思える。 「悪いが、用も足したいのだが。トイレはどこだ?」 「警備隊用ので良ければ、突き当たり右にある。どこから来たんだい」 「ケンタウルスの惑星群のBbから来たんだ。外の際だから、ホントに何もなくてね」 「辺境とは。アンタ警視だろ?」 「上と折り合い悪くてね」 ファイティングポーズを見せるシェンに、相手は笑ってほどほどになと手を振る。 辺境でも太陽系外ともなると、左遷と言っていい地域で、警視ランクの者は殆どいない。 まあ、中隊長はその上なんだろうけどな。 トイレに向かうと、中に入って用を足している警備員に軽く挨拶をして、頭を下げた瞬間、シェンは男の身体を払うようにして床に叩きつけて昏倒させる。 「追い剥ぎみたいな真似は好きじゃないんだけどね。」 制服の上着とズボンを脱がせると、ささっと着替えて男の胸元からIDを奪う。 「ごめんね。あとで、埋め合わせはするからさ」 お詫びのつもりか、その胸元に飴を突っ込むと、ずるずると男を個室に押し込み、何食わぬ顔でトイレを出ると入り口へと向かって歩き出した。

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