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番外編:意外な一面

(宮本の傍に四六時中いることに、慣れたつもりでいるのだが――)  江藤はデスクから見える恋人の背中を、ぼんやりと眺めた。  仕事中でもこうして意識すると、妙にドギマギしてしまい、落ち着けない自分がいた。  付き合って以降、自動的に距離が一気に縮まったせいなのか、悲しいことに意識しているのが自分ひとりだけということに、引っかかりを覚えた。  そんな重たすぎる想いに宮本が耐えられなくなり、前の恋愛のように上手くいかなくなるかもしれないと、頭の片隅で考えさせられてしまい――  宮本の兄、雅輝を自ら振った理由は、自分のせいで辛そうな顔をこれ以上見たくないと思った。一緒にいて楽しそうに、もっと笑ってほしかった。だから……  こっそり書いたメモを手に思いきって立ち上がり、宮本の後ろを通り過ぎながら、さりげなく置いてやる。  メモに目を通した途端にいきなり江藤の背広に手を伸ばして、宮本がいきなり動きを封じてきた。  振り返るとそこには満面の笑みを浮かべながら『行くから』と声に出さず、唇で表してくれる恋人の姿が目に留まった。  胸を高鳴らせる笑顔のお蔭で、さっきまで考えていた暗いことが、一瞬でなくなってしまうのが不思議だ。  ほんのささいなメモひとつに、こうやって笑いかけてくれるコイツが、やっぱ好きだな――

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