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レクチャーⅣ:そういうことだよ!?2

 その言葉に、鏡越しで江藤は宮本の顔をまじまじと見つめる。その表情は、おまえ何を言ってんだっていう面持ちだった。 「俺が高校生のときさ、勉強見てくれただろ。いろいろ接してる内に、憧れが恋心に変わったって感じなんだ。でも江藤さん、兄貴と付き合ってたから、さ」    鏡の中で目を見開いたまま固まる江藤に向かって、ちょっとだけ照れながらたどたどしく口を開いた。 「佑輝くん……」 「ふたりが盛り上がってる最中、部屋に入ったときは本当にビックリした。ビックリついでに、自分がキズついてるのが分かってさ。江藤さんのことが好きなんだって、そこで気がついたんだ」 「あ~、アレな。母親にエロ本見られたレベルと同じくらい、かなり恥ずかしかった。そうか、あの頃からおまえは俺様のことを――」  さっきとは違うまなざし――瞳を細めながら意味深に見つめてくる視線に江藤の余裕を感じたので、迷うことなく背後からぎゅっと抱きしめてやる。 「そうだよ、江藤さんが好きなんだ。今も――」  細くて白い首筋に、唇をそっと押しつけた。左手で乳首を、右手で江藤自身にダイレクトに触れる。 「ココもココも……。江藤さんの全部が大好き」 「ちょっと待て! ここでヤルなんて――うっ!」  慌てる江藤の耳元に顔を寄せて、宮本は優しくささやいた。 「うんまい棒50本のお返しを、なるべく早めに返そうと思うんだけど。今ここで俺の躰を使ってさ」  宮本があげたポッチー数箱に対し、うんまい棒の大袋でお返しをした江藤に後輩として、そこのところをキッチリと返してあげたいと思った。勿論首を絞められた分も、加算することは忘れない。  鏡に映る江藤を見つめながら、耳たぶをはむっと甘噛みしてやる。途端に顔を歪ませながら、躰をブルッと震わせた。舌先に感じる、大好きな先輩の熱がすげぇ心地いい。 「耳の先まで熱くなってる。すっごく感じてるでしょ? だって」 「うっせぇな……」 「俺の手でちょっとしか触ってないのに、両方ともギンギンになってますよ。感じやすい躰なのかなぁ?」    言いながら耳たぶから耳本体に吐息をかけ、舌を這わせてみた。    乳首に触れている指先をくるくる動かしながら、反対の手は江藤自身から太もも移動させて、上下に優しく丁寧に撫で擦った。 「お、おいっ……いっ、いっぺんに、ううっ、責めんじゃねぇ……んんっ!」  眉間にシワを寄せながら身悶える姿を横目でしっかり確認しつつ、うなじにキスをした瞬間、いきなり頭を鷲掴みされた。 (相変わらず乱暴だな。だけど頭の動きを止めても、両手の動きは止められないだろ) 「宮本やめろ、くすぐったいって、うっ、あっ! いい加減にしろよ」 「じゃあさ、どこならいいんだよ?」 「それは、その――」 「隙あり!」  口ごもって頭を掴む力が緩んだのを見計らい、首だけで振り向いてる江藤にキスをした。見た目以上にしっとりとした柔らかい唇に溺れそうになりながら、ねっとりと舌を絡めていく。頭を掴んでいた手が、力なく下ろされた。 「んっ……んぁっ」  普段聞くことのできない、江藤の鼻にかかった甘ったるい声と卑猥な水音が浴室に響き渡るせいで、さらに煽情的になってしまう。   「我慢しないで、声出せばいいのに。聞かせてよ、ねぇ」  宮本からのお強請りに江藤は先ほどよりも眉間に深いシワを寄せ、首を横に振ってあからさまに拒否った。しかしながらその姿が、闘志を燃やす材料となる。  息を切らして余裕なさげな江藤の耳元に、せせら笑いながらそっと告げてみた。 「我慢してるその顔、すっごいエロいですよ。鏡の中の江藤さん見てるだけで、堪らないくらいにドキドキする」  さっきから睨んできても全然怖くなかった。赤ら顔のままだと、いつもの迫力がかなり半減する。 「ぶっ殺される前に、そろそろ挿れていい? 江藤さんのかわいい姿を見てるだけで、もうイッちゃいそうで」 「…………」 「このまま後ろから、指を挿れちゃいますからね――って挿らないし。わざと力を入れてるでしょ?」  鏡越しに訴えると、目を泳がせて酷く狼狽えた顔をした。    らしくない、一体どうした? 「……しょうがねぇだろ。久しぶりだし緊張してるしで、力加減が分からない……」 「な、なぁんだ、早く言えばいいのに」  実は宮本自身も緊張していた。それを江藤に悟られたくなくて、怒涛のように喋っていたのだった。  気を取り直して江藤の水で濡れた肌を滑るようになぞるべく、乳首から脇腹へ――そしてお尻を撫でてから、割れ目を伝って蕾にそっと人差し指を入れた。入口を馴染ませながら、指を増やしていく。  反対の手は太ももから迷うことなく江藤自身を強く握って、上下に擦り上げた。宮本にもたれたれかかりながら声を押し殺し、上半身を弓なりにしならせる。 「見……るなよ、バカ……ふっ、やめっ!」  息を絶え絶えという状態の江藤をじっと見降ろした。 (確かココ。後ろに挿れた中指がココに触れた瞬間、反応していたような。それともコッチ?) 「ねぇ今さ、前と後ろどっちに感じた? 教えてよ」 「教える、もんか。ふざける、なっ……」  今すぐに噛みついてやるという、獰猛な犬のような目で睨んできた。 「知りたいんだよ、江藤さんのこと。初めてこういうのしてるんだし、俺としてはいろいろ感じさせてやりたいんだってば」  ブーたれながら文句を言うと、途端に困惑の色を瞳に滲ませる。 「そんなの手ごたえで何となく……。分かるだろうよ」 「まぁ、片手はヌルヌルしてるし、もう片方は俺の指を飲み込んで、じかにビクビクしてるのを確認してるけどさ。やっぱり大事かなって、コミュニケーション」 「くっ……ぉ、おまえやっぱバカ。どうしてこんなときにぃ、うっ、コミュニケーション……あぁっ、取りたがるん、だよ」 「だって仕事と同じくらいに、とっても大切なことでしょ。会議で言っちゃおうかな。江藤さんは右の乳首より、左の乳首の方が敏感ですよって」 「チッ。テメェ、ぶっ殺されたいのか」  ヒステリックな怒声に負けそうになった宮本だったが、好奇心が勝っていたため難なく質問を続ける。 「じゃあ、どこが感じたのか教えてくださいよ」 「そんなことを、俺様があっさりゲロするわけがないだろ。格好悪いところを、これ以上おまえに見られてたまるか」  若干声を上ずらせ、おどおどしまくる江藤の自信なさげなその姿は、普段は絶対に見られないもので、宮本の中にある卑猥な感情をここぞとばかりに煽っているとしか思えなかった。 「格好悪かろうが何だろうが、挿れちゃいますからね。はい、足をしっかり広げて腰を上げて」 「だからそういうの、いちいち口にするなって。ハズカシイだろ」 「俺が強引にヤッちゃうのは、江藤さんとしては絶対にイヤでしょ。報告・連絡・相談を使ってるんですって」 「おまえアホか。ホウレンソウの使い方がマジでオカシイぞ。だから仕事ができねぇんだ」  呆れまくったお蔭でいい感じに力が抜けた江藤の中に、少しずつ自身を挿れていく。 「ひっ……佑輝くん、っ、んぁっ、苦しい……」 「力むから苦しいんですよ、きっと。力を抜いて欲しいなぁ」   江藤の細い腰を掴んで慎重に挿れていく内に、やっと全部が飲み込まれた。  やっと一つにつながったことが、ひと仕事を終えたような心境に思えた。心と躰の気持ちよさを感じながら目の前を見ると、江藤が鏡に両手をつき、とてもつらそうな顔して息を切らしていた。   (さっき苦しいって言ってたもんな。ここは馴らすためにも、ゆっくり動いてあげた方がいいだろう)  そう考えて自分から腰を、つつっとゆっくり引いたら―― 「ん、ぁ、あんっ……」  今まで聞いたことのない甲高くて艶っぽい声を出しながら、首を左右に振りまくる。もしかして感じているのか?  腰を引いた分だけ戻してみたら、ビクッと躰を震わせた。中に至っては宮本のモノを喰い千切る勢いで、ぎゅっと締めあげる。  ちょっとしか動かしてないのに、こんなに感じるなんて――久しぶりだからとか言ってたけど、自分の穴にこの手を使ってHなことをしていたんじゃないのか。もしくは、そっち系の道具で出し挿れしたり。じゃないと、この感度は有り得ないだろ。 「江藤さんの躰って、本当にエロいですね」 「そんなこと言うなって……あんまり激しくするなよ。んっ……先にイッちまう」 (そうか。激しく出したり挿れたりして、ひとりでシていたんだ) 「遠慮せずに、イけばいいのに」 「絶対、おまえより先にイかないっ! 意地でもイかないからな!!」  何の意地だよ、まったく。昔から面倒くさい人だから、しょうがないんだけどさ、もう――  宮本は江藤のモノをぎゅっと握りしめつつ、もう片方の腕は躰を抱きかかえる形にして、しっかりとスタンバイした。 「じゃあ俺、遠慮なく先にイかせてもらいますね。ちょっとだけストローク上げないとイけないんで、それなりに頑張って、ぜひとも我慢してください」 「は? なっ!」  江藤の返事を待たず、宮本は猛烈な勢いで腰を動かした。指で触ったときにヒットした場所に目がけて、そりゃあもうここぞとばかりに狙い撃ちしてやった。 「やめっ、ちょっ、んっ……ああっ! あぁっん! あぅっ……あっ――!」

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