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第8話 天狗の銀

僕は神社の裏側のいつもの場所に着くと、大きく深呼吸してから銀ちゃんの名前を呼ぶ。呼ぶとすぐに、銀ちゃんは来てくれた。 僕はぎゅっと銀ちゃんに抱きついて、憧れの眼差しで見上げた。 「…どうかしたか?」 「銀ちゃんって…銀ちゃんって、神様だったんだね!」 「はぁっ?どこからそんな話が出て来たんだ…?」 銀ちゃんは眉毛を動かして、困った顔で僕を見た。 「おばあちゃんが…。あの…ごめんね、おばあちゃんにバレちゃった…。でも、おばあちゃんは誰にも言わないし、銀ちゃんのこと、良い子だって言ってたよ」 「ああ、凛の祖母か…。凛の祖母も、良い人だな。ちゃんと、凛と遊ぶ許可をもらったぞ。…で、その祖母が、俺を神様だと言ったんだな?」 「うん。山を護ってるって」 僕の前髪を横に流すように撫でて、銀ちゃんは優しく微笑んだ。 「神様ではないけど、山を護ってるのは本当だ。もちろん、凛のことも守る。だから、空を飛ぶ翼があるし、人間にはない不思議な力もある。凛…、おまえは最初から俺に懐いてくれていたが、俺が怖くはなかったのか…?」 「え?全然、怖くないよ?だって、大好きだもんっ。それに、銀ちゃんはかっこいい!」 「ふっ、そうか…。なら、これからも仲良くしてくれるか…?」 「うんっ」 僕は嬉しくて、力強く頷くと、飛ぶために僕を抱き上げた銀ちゃんのほっぺにちゅうをした。 そんな僕を、銀ちゃんは少し赤い顔をして、優しく見つめていた。

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