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「明日、式を挙げることにしたよ」
「……うん」
夜、ラインヴァルトの私室。ラインヴァルトが目を失ったことに城中が大騒ぎになり、婚約者を連れてきたことに祝福ムードになり。それはもう慌ただしい一日だったが、夜も深くなってきたために二人は城の者たちから解放されて部屋でゆったりと過ごしていた。ベッドの上で、椛はラインヴァルトの逞しい胸板に頬を預けるようにして横になる。髪を撫でられると、気持ち良くてふわふわしてくる。
「ライン……」
「ん?」
「幸せ……」
「うん……」
唇を親指で撫ぜられる。すると、椛は身体を起こしてラインヴァルトの上に乗り、自らキスをした。
「んっ……」
ラインヴァルトが椛の細い腰を抱くようにして撫でる。視覚を補うようにラインヴァルトは椛にたくさん触れようとしていて、それが椛にとってすごく気持ちよかった。身体の隅々をラインヴァルトの大きな手のひらで撫でられると、身体の奥のほうから熱くなってくる。
「まって、ライン……そこ、んっ……」
「気持ちいい? ナギ」
「気持ちいいから、だめ……」
背筋をつうっと指でなぞられると、ぞくぞくと甘い電流が身体に走る。じわじわと少しずつ高まる快楽に、椛は息をきらしはじめていた。これ以上触られたら、我慢できなくなってしまう。
「ライン……とめて、だめだよ……今日は、できないでしょう……?」
「なんで?」
「だって、ライン……目、」
「……だめかな。……俺、いますごくしたいんだ。ナギのこと見えないから、体でナギを感じたい。全身で、ナギを愛したい」
「……っ、」
ラインヴァルトの言葉に、椛は思わずドキリとしてしまった。嬉しさ半分、悲しさ半分。ラインヴァルトは本当に目を失ってしまったのだと、泣きたくなった。ただ、ラインヴァルトと体を重ねたいのは椛も同じだ。それは単なる性欲からくるものではなくて、ラインヴァルトへの愛情からくるもの。彼と肌を合わせて、感じあって、そんなことを延々としていたい。だから、椛は答えに迷わなかった。
「……ライン、じゃあ……僕が動くね」
「え、」
「……あんまり、慣れてないんだけど……頑張るから……」
「……ナギ、」
椛はそっとラインヴァルトのシャツのボタンを外し始めた。自分からこうして相手の服を脱がして、そして自分から動く、というのは実は椛は初めてで、内心とてつもなくドキドキしていた。それでも椛は、ラインヴァルトが満足できるために頑張ろうと意気込む。震える細い指でなんとかボタンを外し終えると、今度は自分の服を脱ぎ始めた。
「……ライン、下手だったらごめんなさい……」
「なっ、いや、ナギがこんなことしてくれるってだけで俺は……!」
「……ふふ、今だけは不謹慎ながらもラインが僕のことが見えなくてよかったって思います」
「なんで?」
「……今……ばかみたいに、顔が熱いんです」
「……恥ずかしいの?」
「……だって」
椛は身体を覆う全ての布を脱ぎ去った。そして、ラインヴァルトのズボンのファスナーをさげてペニスをそっと取り出すと、自らの臀部の割れ目にあてる。
「ン、……」
「な、ナギ……」
はだけた胸同士をこすり合わせるようにして、椛は身体を揺すった。それにあわせて椛のやわらかな尻肉がラインヴァルトのペニスを刺激する。ずる、ずる、と往復させれば、ラインヴァルトのそれはみるみると硬くなっていき、熱を持ち始めた。
「あ、はぁ、ぁあ……」
しかし、感じているのはラインヴァルトだけではなく。動いている椛自身も、甘い声をあげはじめていた。熱いそれが、ときどき後孔を擦れば奥のほうがきゅんっとなる。上半身を揺らせば乳首がラインヴァルトの胸板の上で転がるように刺激される。
「あっ、んんっ、らいん、らいん……っ、きもち、いい?」
「……やばいよ、ナギ……すごく、いい」
「ほんと……? よかっ、た……あぁっ、ん……」
ミルクのように白くすべやかな肌が、ラインヴァルトの全身を刺激する。大きなその体の上で、椛は懸命に身体を揺すった。筋肉の食感、心臓の鼓動、微弱な感触のひとつひとつが、椛の身体の熱をあげてゆく。ベッドの軋みの音は次第に大きくなっていき、動きも激しくなってゆく。
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