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歌詞の意味はよくわからない。でも、それを歌って出てきた人たちは、みんな穏やかな顔をしている。
「I hear Thy welcome voice……♪」
庭の薔薇の世話をしながら、礼拝堂のなかから聞こえてくる賛美歌を効くのが好きだった。俺は敬虔な神父というわけでも特別神を信じているわけではなけれど、さわやかな朝に響き渡る賛美歌を美しいと思う。というよりも、この教会が、美しい。
「おつかれさま、メル」
「義父さん、みてくれよ。昨日は蕾だったこの薔薇が、咲いている」
「ああ、本当だ……綺麗だね」
孤児だった俺を拾ってくれた義父さんのいるこの教会が、好きだった。義父さんが、好きだった。町のみんなから「トレーシー神父」と呼ばれて慕われている優しい義父さん。教会の後を継ぐのは難しいけれど、何らかの形でいつか恩返しをしたいと思っていた。
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